かかりつけ産婦人科を持って素敵な人生を!
その① ~子宮頸がん~
皆さんは婦人科外来を受診したことありますか?
風邪をひいて胸に聴診器を当てるのとはワケが違う?
そんな産婦人科バリアフリー化を企み、今回から様々な婦人科疾患をシリーズでお伝えしていきます。
第1弾は「子宮頸がん」
婦人科のがんと聞いて何を思い浮かべますか?
婦人科のがんといってもさまざまです。今回は婦人科がんの中から子宮頸がんについてお伝えします。
みなさんは、今までに子宮がん検診を受けたことがあるでしょうか?
近頃は、広報活動などで検診の必要性も再認識され、会社の検診やドック、自治体の検診などを利用して受ける方もおられると思います。
当院の受診率はというと・・
年齢別にみると40代と60代の受診率はいいですね。自治体で補助は出ているけれど、30代より若い世代の受診率はまだまだと言えそうです。
若い世代においては、子宮頸がんワクチン(ガーダシル・サーバリックス)が一時期推奨されていましたが、副反応の問題もあり、現在では厚生労働省は積極的な推奨はしていません。
では、どうしたらよいのでしょうか?
ここでクイズです。
子宮頸がんをどこまでご存知ですか?
Q1 子宮頸がんと子宮体がんになる原因は同じである?
子宮頸がんは子宮体がんと違い、発症場所も違えば、原因も異なるまったく別のものです。
Q2 子宮頸がんの原因はウイルスであり、持っている人は必ず発症する?
子宮頸がんの原因は性交で感染する、ヒトパピローマウイルス(HPV)です。このウイルスはありふれたウイルスなので、性交経験のある20代女性からは多く検出されます。HPVには様々なタイプがありますが、感染した全ての人にがんが発症するわけではなく、HPVに感染していても約9割の人が2年以内に体外に排除できると言われています。しかし、長い間感染が持続すると、子宮頸部が前がん状態を経てがんへ進行していく方もいます。
Q3 子宮頸がんの初期症状はほとんどない?
子宮頸がんの初期症状はほとんどありません。だからわかりにくいのです。生理とは別の不正出血、閉経後の不正出血、性交時出血などで症状が出る場合もありますが、症状が出た時には進行していたと言う事もあります。
しかし、検診を受けていれば、子宮頸がんは早期発見が可能で、前がん状態(子宮頸部異形成)の内に治療できます。
どんな方法で検診するのか?
検診方法は一次検査として内診と細胞診を行います。子宮の入り口(子宮頸部)の細胞を専用のブラシで採取し、スライドグラスに塗布し、固定した後、染色して顕微鏡で観察する検査になります。ちなみに我が船橋市の検診で30代の方はウイルス検査も同時に行うことができます。
一次検査で異常がみられた場合、組織診を行います、拡大鏡で見ながら病変部分の組織を取り、詳しく見る検査です。
船橋市の場合、市検診のお知らせで、指定医療機関で行う場合は500円です。(市役所にがん検診のクーポンがもらえるかお問い合わせ下さい)。エコーを行なう場合は追加料金が必要になり4000円近く必要になります。
気になる症状がある場合の検査であれば医療保険適応の3割負担となります。
検診結果の見方
NILM |
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問題なし |
ASC-US |
要再検査 |
再検査 (二和病院ではHPV検査を追加で行ないます。) |
ASCH・LSIL |
再検査・コルポスコピー・組織検査 |
|
HISL |
再検査・コルポスコピー・組織検査 |
*組織検査で「高度異形成」の診断になった場合に手術適応となります。
*コルポスコピーとは子宮頚部を専用レンズで観察することです。
問題なしの場合は1年に1度の定期検査で、再検査などの場合は3か月から半年に1度に定期的にみていく必要があります。
治療方法
円錐切除術
子宮頸部だけを円錐状に削る方法(二和病院では高周波メスを使用します)で、出血や早産のリスクはでてきますが、これから妊娠や出産を希望する女性に対して、子宮を温存する意味でも行います。
子宮全摘術
子宮全体に進行がんが広がらないためにも浸潤の範囲によっては適応となります。
がんの進行具合によっては、化学療法や放射線療法を組み合わせた治療を行う場合もあります。
病院は待ち時間も長いし、婦人科は敷居が高いかもしれません。それでも、1年に1度、数分の間、診察台でちょっと見てもらおうかなーといった気軽な感じで良いのです。この勢いで受診をしちゃいましょう。
次回は子宮体がんについてお話します。