ビックリ都市伝説 やってない??この避妊法
皆さんは避妊方法をどのようにしているでしょうか?コンドームですか?OC(低用量ピル)ですか?病院の避妊指導の中では、コンドームを選択している方が多い印象で、中にはOC(低用量ピル)など併用している方もいるようです。避妊指導をする際、本人が避妊だと思っていたことが、実は正しい避妊方法ではなかったりすることがありました。そこで色々調べてみると、思わずこちらもビックリしてしまう都市伝説内容だったりと、再度声をあげてお伝えしたい!!と思い書かせて頂きました。
皆さんの中に、「これ実践してる!」と当てはまる方は「ちょっと待ったぁぁぁあ!!」
挿入しないで&挿入させないで下さい。
① 「某炭酸飲料で洗えば大丈夫」説
炭酸飲料でどのように洗うのか、炭酸痛くないんでしょうかね。某炭酸飲料による酸性の成分に精子の殺傷能力があると信じられているようですが、医学的根拠はありません。むしろ、膣内を傷つけたり、有益な菌も洗い流してしまい感染のリスクが上がるとも言われています。
酸性ということで梅干しという説もあるようですが、、、危険です。やめて下さい。
教訓 その① 某炭酸飲料も梅干しも膣ではなく口に入れるべし
② 「愛していなければ妊娠しない」説
...。 気持ちだけじゃどうにもならんのじゃー!!
(はい、もう一度!!)
教訓 その② 気持ちだけじゃどうにもならんのじゃー!!
③ 「ジャンプすれば精子が出てくる」説
「やばい!中に出しちゃった。」「大丈夫☆一緒に1,2,3,ジャンプ!!」
残念ながら、全ての精子は出てきません。また、ジャンプしている間に早い精子は子宮内へ入り込み卵子を求めてひたすら進んでます。
教訓 その③ ジャンプの労力を避妊への学びに費やすべし
④ 「外出しだから大丈夫」説
「外へ射精できました。」「それは良かったです。」という事には断じてなりません。射精時の一番初めが最も精子の濃度が濃いとされています。そして、射精時の精子は時速約48.2キロのスピードで飛び出してくるのです。これは陸上で有名なU.B選手が100m世界新記録を打ち立てた時の最高速度を上回る速さと言われています。(「脳の指令は新幹線より速い」サイモン・ロジャース著 より)
それでは女性の方、想像してみて下さい。密着するほど近距離にU.B選手が立っています。そこからスタートのピストル合図など、なんの前触れもなくフライング突進して来た時に、サッと身を避けることができるでしょうか。
避妊・感染症予防のためにも挿入前に必ずコンドームを装着して下さい。
「俺、キツくてゴム入らないんだよね」⇒マグナムサイズ(直径48mm)買ってください。
「俺、ゴムアレルギーなんだよね。」⇒ラテックス(ゴム)フリーの物買ってください。
教訓 その④ 中も外も同リスク。
コンドームの達人 https://youtu.be/mHHRgFfGnzA
⑤ 「授乳中だと排卵も生理もないから大丈夫」説
産後の方からよく聞きますが、確かに授乳中は母乳を生成して分泌させるホルモンにより、排卵にブレーキがかかっている状態です。しかし、子どもが離乳食の時期に突入したり、普段の授乳の間隔が空いたり、吸わせている時間が5~10分と短時間だとブレーキが甘くなってしまいます。そうした環境により、いつの間にか排卵していた!ということになるのです。
教訓 その⑤ 授乳で気を抜くなかれ、知らずに排卵。
⑥ 「某アプリで安全日・危険日予測をする」説
これで危険日を避ければ大丈夫 と思っていたら、それこそ今日が危険日です。アプリでは、過去の生理開始日から生理周期を平均して予測しているので、排卵日を確実に特定できる訳ではなく、(オギノ式)と言われる排卵日予測も、本来は妊娠を目的として使用されるものであり、避妊方法ではないのです。精子は寿命の長いもので7日も生きていることもあります。また、女性は環境の変化・ストレスなどで容易に排卵日はズレやすくなります。
教訓 その⑥ 毎日が危険日。
以上の教訓を踏まえ、正しい避妊方法を身につけようではありませんか!!
避妊方法として、*コンドーム *OC(低用量ピル)*緊急避妊ピル *IUD(子宮内避妊用具)*IUS(子宮内避妊システム)があります。どれか1つだけ行なえばよいという訳ではありません。コンドームは避妊の他に性感染症も防ぐことが出来るの
で、コンドームにプラスしてもう一つ避妊アイテムを使うとより良いでしょう。
さいごに
「望まない妊娠」とよく言われますが、これはとても胸が痛い言葉です。
確かに自分だけの責任ではないですが、お腹に小さな命が宿っています。
一生懸命に生きています。私たちはその命に終わりを告げ最後を見届けます。
きちんと避妊の対策をしていれば、このような言葉が出てくることもないのでは...。と日々感じてしまいます。
SEXをすることがいけないのではありませんよ!妊娠を考えていない状況下での恋人・夫婦のスキンシップを避妊というベースのもと愛し合って頂きたいのです。
女性とお腹の命に対して医療者である私たちは、幸せに迎えてあげられる環境を一緒に作っていきたいと考えています。
またその中で、家族・友人など周りに相談できず独りで不安や悩んでしまっている方にも、私たちの所へ(病院へ)相談に来て頂きたいのです。
万が一、避妊に失敗し、妊娠の可能性が出てくる場合には、性行為後72時間以内に内服する緊急避妊ピルというものがあります。
ただ、これを常備の避妊方法にすることは出来ませんから、しっかりとコンドーム+アイテムを心がけてください。
☆身を守るのは貴方自身なのです。大事な身体に愛情を持って大切にしましょう☆
母乳と食事の都市伝説
食欲の秋ですね。
旬なものを美味しく食べたい!でも母乳育児しているから...何でもかんでも食べて乳腺炎にならないか心配。というママもいるのではないでしょうか。
乳腺炎になる食事はあるのか?
母乳外来で「脂っこい食事やケーキを食べたから乳腺炎になったのでしょうか」「食事で気を付けた方が良いものはありますか」と質問を受けることがよくあります。
母乳がドロドロになって詰まる、食事量や内容で母乳の成分や量が変わる、という印象があるようです。
結論から言うと
特定の食事(脂っこい食事やケーキ等)=乳腺炎
というのは都市伝説!!医学的根拠はありません。
母乳の構成成分
母乳の88%は水分です。他には、炭水化物、脂肪、たんぱく質の順に多く含まれます。
中でも気になる脂肪ですが...母乳中に3.5%
ママの食事によって脂肪の構成成分は変化しますが、母乳中の脂肪の量は変わらないことがわかっています。ですので、脂肪分をとりすぎたからと言って母乳がドロドロになることやその為に乳腺が詰まることはありません。
母乳は血液から造られていることをご存知ですか?血液は乳管より細い毛細血管を通ってきています。食事が原因で血液がドロドロになったら乳管より先に毛細血管が詰まってしまうことになりますよね。
授乳期(30歳)の食事摂取基準は2100~2650kcalですが、栄養状態の良いママが1日の食事摂取量を1500kcalに減らしても母乳の量は変わらないといわれています。逆に、それ以上に減らしてしまうと、今度はママの健康に影響が出る可能性があるのです。
乳腺炎を気にして食事制限をする必要はなく、バランスの良い食事が1番です。
乳腺炎の原因
では“なぜ乳腺炎になってしまうのか”ですが、作られたおっぱいを赤ちゃんがうまく飲みとれていないことが主な原因です。具体的に上げると、
- 赤ちゃんが乳首をうまく吸えない
- いつもと授乳の姿勢や赤ちゃんのポジションが違った
- 離乳食が進んできて、母乳回数が減った。
など、こういったことにより
作られた母乳>飲みとる量
のバランスになった時に母乳が溜まり、乳腺炎をひきおこす原因になります。他には、ママの疲れやストレス、下着や抱っこひもなどによる締め付けや圧迫などが原因といわれています。
乳腺炎かなと思ったら
乳腺炎になってしまった時には、赤ちゃんに飲みとってもらうのが1番。赤ちゃんがおっぱいを深く吸えているか、授乳の姿勢は大丈夫かを確認して頻回に吸ってもらいましょう。疲れがたまっていたら、周りの力を借りながら休息をとることも大切です。
赤ちゃんが飲みとるのが難しかったり、頻回に吸わせても改善しない場合には母乳外来の受診をお勧めします。
当院の母乳外来については↓こちらをご覧ください。
産婦人科|診療科のご案内|患者さま・ご来院の方へ|船橋二和病院
お問い合わせ・ご意見等ある方は toiawase@futawa-hp.jp まで。
参考文献●水野克己、水野紀子:母乳育児支援講座、南山堂、2011年
10代でピルって大丈夫なの?
娘さんにピルをおすすめすると、お母様から聞かれる質問です。
諸外国に比べると、日本はピル(経口避妊薬)の普及が遅れています。
例えばフランスでは普及率40%以上であるのに比べ、日本では3.5%という報告もあります。
これは、ドラッグストアでピルを買うことができる諸外国に比べ、日本では医師の処方が必要であることも原因かと思います。
コンドームは、確実に使用したとしても妊娠することがあり、その確率も低くはありません。それに対し、確実に内服すればほぼ100パーセントの避妊効果があるピル。女性の意思で避妊できることや、避妊以外の利点(月経痛・月経前症候群の改善、など様々)もあるのですが、あまり普及していないと思います。
今回は、ピルに関する素朴な疑問、
‘10代でピルって大丈夫なの?’にお答えしたいと思います。
ピルの対象者は
生殖可能年齢にある女性
つまり対象年齢は<初経がきて数ヶ月~閉経まで>
ただ、40歳以降は副作用発生のリスクから、慎重投与とされています。
これは、もとから40代以降は疾患のリスクが高くなり、ピル内服によりそれを助長する可能性があるからです。
40歳以降で、出産を終えた女性の避妊は、IUS(子宮内避妊システム)などの方法がベターといえそうです。
ということは・・・若い世代こそ、もちろん10代でも、<避妊の第1選択はピル>
であっていいと思います。
なぜ10代でピルは普及していないの?親心と副作用
しかし現実には、子どもを産んでも育てられないうちはセックスするべきではないという大人の理想像もあります。
実際、娘さんが交際している相手がいたとします。2人の関係は認めてあげたとしても、「妊娠だけはしないでほしい」、と思う親心ってありますよね。
10代でピルなんて、と思う理由は、ピル内服を認める=子どものセックスを容認する、ということではないのだけれど・・そこに疑問があるからではないでしょうか。
しかし、1度セックスのある関係になってから、元のセックスのない関係に戻ることは考えにくいですよね。
その他、よく質問されるのは、吐き気などの副作用に関する心配です。
現在普及している低用量ピルは、昔の中用量ピルに比べて副作用が抑えられていることがメリットです。
当院で主に処方されているトリキュラー錠の添付文書によると、主な副作用
は下記の通りです。
不正子宮出血 |
3.8% |
悪心 |
3.4% |
乳房痛 |
1.1% |
嘔吐 |
0.9% |
頭痛 |
0.7% |
どれも発生頻度は少ないと言えそうです。
その他、まれではありますが重大な副作用としては、静脈血栓症があげられます。添付文書によりますと、ピルを内服している女性は内服していない女性に比べ、発生頻度が
3.25~4.0倍高くなるそうです。ちなみに静脈血栓症の発症率は妊娠中にも高くなり、非妊娠時と比べて5倍以上といわれています。つまり、妊娠したほうがハイリスクということになります。
妊娠したほうがハイリスク
娘さんがもし妊娠したら、と考えますと、若年妊娠はそうでない場合と比べて妊娠自体
がハイリスクで、早産・低出生体重児・妊娠高血圧症候群のリスクが高く、母子ともに命に関わる危険にさらされる可能性が高まると言っても過言ではありません。
おわりに
妊娠したことを誰にも伝えられず、悲しい事件に発展するというニュースが後をたちません。もし、中絶の選択をしたとしても、手術によるリスクは避けられず、心の傷は一生背負うことになります。
望まない妊娠への不安を、毎月抱えている人もいると思います。
避妊の選択肢は一つではありません。
今回は疑問に少しでもお答えできれば、と思いましたが、なにかありましたら産婦人科外来にいらして下さい。医師の診察の前後にお話しをお伺いすることもできますので、気軽にご相談下さい。
参考文献)・産科と婦人科 2014.8. vol.81 No.8 診断と治療社
特集 女性と静脈血栓塞栓症
先日、思春期保健の研修に行ってきました。1
タイトルの通り思春期保健に関する講義がメインでしたが、全てのライフステージに関係する内容も多々あったので、何回かに分けてみなさんにもお伝えしようと思います。
今回は・・・
「性と生殖に関する健康と権利」
(Sexual Reproductive Health/Rights 以下SRH/R)
<SRH/Rのいきさつ>
1978年にWHO(世界保健機関)が、“全ての人々に健康を”を目的に、健康の定義を「健康とは、単に病気にかかっていない、病的状態が存在しないというがけでなく、身体的、健康的および社会的に完全に良好な状態をいう」と宣言しました。
それをうけ、1990年にファタラという産婦人科医が、女性の健康という視点に置き換えて、以下のように定義しました。
<SRH/Rとは>
「リプロダクティブ・ヘルスとは、生殖の過程に単に病気や異常が存在しないだけでなく、生殖の過程が身体的、精神的および社会的に完全に良好な状態で遂行されること」
この定義をみなさんに置き換えると
①良好な恋愛ができる。(対等に、敬意を持って付き合える)
②良好な性交が行なわれる。(自分や相手の体を知り、性感染症や妊娠に関して話し合い、合意の下で性交を行なえる。)
③望まない妊娠や性感染症に関して、自己決定権を持ち、安全な治療が受けられる。
④良好な不妊治療が受けられる。
⑤安全に妊娠と出産ができる。
⑥生まれた時から、赤ちゃんが良好な子ども時代を送れる。(虐待から守られる)
・・・と表すことができます。
皆さんはSRH/Rを自分のものにできていますか?
デートDVやリベンジポルノを受けていませんか?
避妊や性感染症予防を相手にゆだねていませんか?(あなたと相手は正しい知識を持っていますか?)
人工妊娠中絶や性感染症の治療によって、心は傷つけられていませんか?(相手や周りの人や医療関係者から心ない対応をされていませんか?)
自分のライフプランを描くための知識を持っていますか?必要なときは自分とパートナーの納得の行く不妊治療を受けていますか?
母子ともに健康な妊娠・出産をできるような医療を受けていますか?
赤ちゃんを健やかに育てられるサポートを受けていますか?
などなど・・・。
日本人は「人権」に関して、まだまだ関心が薄いかもしれません。
これを期に「自分と自分の大切な人の健康と権利」を考えてみてくださいね。
尿漏れ、尿失禁 悩んでいないで婦人科に受診を
秋の空気を感じてきましたね。ブタクサなどの秋花粉が舞い始めてきました。
皆さんはこんな経験ありませんか?
突然襲うくしゃみで チョロ あっ!!
風邪をひいて止まらない咳に思わず うっ!!
軽く持てると思った荷物を持ったら意外と重たくて あ、マズイ・・・(@_@;)
さっきトイレに行ったばかりなのにムズムズ・・・もれそう・・・。
このような経験は成人女性の4人に1人が経験すると言われています。
尿漏れの分類と頻度
女性の尿漏れは3つに分類できます。
■腹圧性尿失禁:咳やくしゃみ、大笑いすると漏れてしまう。重い荷物を持った時に漏れてしまう。
■切迫性尿失禁:トイレに行くまで我慢できない。トイレに行く回数が増えた。トイレに行ったばかりなのにすぐに行きたくなる。
■混合性尿失禁:腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両者が存在するもの
頻度としては、腹圧性尿失禁が約50%と最も高く、次いで切迫性尿失禁が約20%、混合性尿失禁が30%となっています。
尿失禁の原因
私たちの下腹部にある内臓(膀胱・尿道・子宮・膣など)は骨盤の中で保護されています。その内臓を支えている筋肉を骨盤底筋と言います。出産や加齢に伴い、骨盤底筋群が脆弱化して膀胱や尿道が下垂することで、尿漏れを引き起こします。
妊娠中には約半数以上の妊婦さんが尿漏れを経験し、出産後は自然に改善すると言われていますが、尿漏れが続く場合には早めにご相談ください。
産婦人科受診のすすめ
尿漏れはあるけど、どこにかかればいいのかよくわからない。泌尿器科?という方もいるかと思います。
当産婦人科外来では、尿漏れ、尿失禁による症状・障害をスコア化して、治療方針の決定、治療効果の判定しています。先ずは悩んでいないで、産婦人科外来にご相談ください。
お産のサポートだけじゃない!!助産師のお仕事~思春期講座~
2017年8月22日に病院探検がありました。(当院では子育て支援の一環として、毎年夏休みに病院探検を行なっています。)
今年はその中で、小学4~6年生を対象に
「思春期ってなぁに?~自分たちの心と体を知ろう!~」
というテーマで、助産師が思春期講座を行いました。
実際に使用したパワーポイントを載せながら、内容を紹介します。
目標1.赤ちゃん誕生について知ろう
赤ちゃんはどうやってお母さんのお腹に来るのか、どこから産まれてくるのかをクイズ形式で小学生に答えてもらった後、卵子と精子が出会うまでの物語とお腹の赤ちゃんが生まれて来るまでの成長を話しました。
実際に生後2か月の赤ちゃんとママに来てもらってお話をしてもらったり、少し抱っこさせてもらったり...
赤ちゃんと会った参加者からは、「軽い!小さくて可愛い❤」「赤ちゃんを産むのは大変なことなんだと分かった」などの感想が。
目標2、心と体の成長について知ろう
体は勝手に大きくなるけれど、「外での運動・1日3回バランスの良い食事・早寝早起き」をすることで更に健康に成長できることを伝えました。
夏休みということも合って、中には0時に寝て9時に起きるという子も。
昼食でおにぎりと具だくさんすいとんを食べながら、栄養や1日3回のバランスよい食事について一緒に復習しました。
心は体と違い勝手には成長しないこと、様々な悩みに直面したときに「考えること」「行動すること」「頑張ること」などの解決する努力を重ねることで、心は大人になっていくことを伝えました。
目標3、心と体の守り方を知ろう
船橋市では2017年4月~8月中旬までに24件の小中学生への不審者情報が挙がっていることを、みなさんはどう受け止めますか?多い?少ない?
内訳は女子が大半ですが、男子の被害報告も相当数あります。
✿体を守るために・・・
「水着で隠れているところをプライベートゾーンって言うけど『触られたら嫌だ』と思うところは守ること」、「不審者に遭った時の対処法」を伝えました。
✿心を守るために・・・
「小学4年生~中学3年生までの6年間で『仲間はずれ・無視・悪口をした・された経験回数』が1回以上ある子は、どちらも9割以上」という統計結果があります。いじめた自覚はなくても相手は傷ついているかもしれないこと、誰でも加害者にも被害者にもなりうることを伝えました。
また、心が成長していくと〝好きのかたち“も〝価値観”も多様化していくこと、周りに否定されても自分の気持ちを大切にしてほしいこと、自分の心を大切にすることだけではなく、相手の心も大切にしてほしいと伝えました。
気になる小学生の感想は・・・
「思春期という言葉は知っていたけれど具体的な意味は分からなかったので、すごく面白かった」「大人になると、体だけじゃなく心も成長することが分かった」などなど、嬉しい反応がたくさんありました。
高校生ボランティアの感想
病院探検には4人の高校生ボランティアが参加してくれましたが、たまたま皆〝助産師志望“!!
彼女たちの感想は・・・
「今の私たちに必要なことが分かった」「赤ちゃんの心音が聴けて良かった。あんなに早いと思わなかった」「子どもたちに教える活動の場に参加して、助産師の更なる一面を見ることが出来た」と思春期としてだけではなく、将来を見据えた反応もありました。
スタッフの感想
今回、私たちとしては初の試みだった上にデリケートな内容だったため、スタッフ一丸となって作り上げました。
反応が楽しみ半分不安半分でドキドキでしたが、「やっぱりニーズはあるんだな」と実感できました。
また機会があれば、色々な内容の思春期講座を開きたいと考えています。
ご意見等ある方は、こちらへ
toiawase@futawa-hp.jp
思春期講座内での参考・引用元は下記
- 犯罪予防と健康づくり(岩室伸也20170728)パワーポイント
- 浅井春夫 他:あっ!そうなんだ!性と生―幼児・小学生そしておとなへ、エイデル研究所、2014年
タバコについて
タバコによる健康被害
肺がん、胃がんなど様々な健康被害をもたらすことがわかっているタバコ。
タバコの主流煙は約5300種類の化学物質を含み、そのうち約70種類は発がん性があるといわれています。副流煙の成分も主流煙とほぼ同じですが、主流煙より副流煙の方が有害物質を多く含む場合もあることが指摘されています。
WHO(=世界保健機構)は、毎年500万人が能動喫煙によって、60万人が受動喫煙によって死亡し、2004年に死亡した児童のうち28%は受動喫煙が原因であると指摘しています。日本での研究によると受動喫煙を原因とする疾患により年間1.5万人が死亡しているとの報告があります。
女性・子供への影響
私たち産婦人科スタッフがここでお伝えしたいのは特に女性や子供たちへの影響です。喫煙がもたらす健康被害はがんだけではありません。(ここでの「喫煙」は能動喫煙・受動喫煙の両方をさします。)
まず、女性が喫煙することにより、妊孕性(妊娠する力)が低下するといわれています。妊娠中に喫煙をすると、自然流産・早産(妊娠36週以前での出産)や異所性妊娠(子宮以外での妊娠)のリスクが増加します。
当然、お腹の赤ちゃんへも影響します。ママと赤ちゃんをつなぐ臍帯(へその緒)は赤ちゃんがお腹の中で生きていく上で必要な酸素や栄養を運んでくれる命綱です。タバコは血管を収縮させる作用があります。その作用により、臍帯の血管も収縮し、赤ちゃんにうまく酸素や栄養を運べなくなります。そのことにより、低出生体重児(出生時体重が2500g以下)の可能性が非喫煙者と比較し2倍に増加、周産期死亡(妊娠28週以降の死産と生後1週間以内の早期新生児死亡)のリスクも増加してしまいます。
産まれてきた子供への影響(受動喫煙によるもの)としては、乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因の1つといわれています。 ※SIDSは、何の予兆や既往歴がないのにもかかわらず、乳幼児が死に至る病気です。平成27年度には96名の赤ちゃんがSIDSでなくなっており、乳幼児期の死亡原因の第3位となっています。
受動喫煙防止シンボルマーク - すぐ禁煙.jp(ファイザー)
妊娠中、母親が喫煙していたことにより乳幼児期の肺機能が低下したり、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの子供の発達に関連するともいわれています。このように喫煙により数々の影響が出てくるのです。
妊娠したいから、妊娠したからと言って女性・ママだけが禁煙すればよいということはありません。男性・パパはもちろん、おばあちゃんやおじいちゃんにも禁煙をお願いしたいのです。
日本の喫煙規制は遅れている・・・?
そうはいっても、
喫煙者の方は
「自分の身体は自分のもんやー!!」
健康被害があるとわかっていても吸いたい!実際に病気になったとしても吸い続ける!
やめなきゃいけないとは思っていてもどうしてもやめられない。
非喫煙者の方は
他人のタバコで、なんで自分が病気にならなきゃいけないの?
そこらじゅうで吸われると迷惑。
と、両者の意見があると思います。
そこで求められるのがしっかりとした制度!!分煙や一定の限られた場所での喫煙・禁煙ではないでしょうか。
2020年にはオリンピックが開催されます。WHO(=世界保健機構)とIOC(=国際オリンピック委員会)はともに、タバコの無いオリンピックを目指しています。2003年以降のすべてのオリンピック開催地で、原則すべての屋内施設を全面禁煙とする罰則付きの喫煙規制が実施されています。
わが国でも、2020年に向けて屋内全面禁煙を求める機運が高まっています。しかし今現在、罰則規定はなく、世界と比較すると日本は後れを取っていると言わざるを得ません。
禁煙治療について
現在習慣的に喫煙している人のうち、タバコをやめたいと思う人の割合は24.6%、タバコの本数補減らしたいと思う人は33.5%です。
どうしたらタバコを止められるか...
なかなかやめられない喫煙はニコチン依存症ですので、
「よっしゃ!やったるでー!!」
といったやる気や気合だけでは乗り越えられません。
タバコをやめたいと考えている人には禁煙外来をお勧めします。
禁煙治療は禁煙外来を開設している医療機関で受けることができます。一定の要件を満たせば、健康保険で治療を受けることができます。
禁煙希望のある方はぜひ一度、禁煙外来を受診してください。
参考文献・資料
●厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco
●国立国会図書館 調査及び立法考査局社会労働課 宍戸真梨、受動喫煙対策の動向―我が国と海外の屋内公共施設における喫煙規則―、国立国会図書館