ふたわ✿産婦人科

千葉県船橋市にある病院の産婦人科。産婦人科医・看護師・助産師によるブログ。現在、分娩休止中ですが再開予定のため、医療・保健活動は継続しています。このブログでは、産婦人科にまつわることなら病気のことだけでなく、他人には聞きづらいこと、ちょっとした疑問にお答えしていきます。個人的な質問にはお答えできません。

先日、思春期保健の研修に行ってきました。1

 

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タイトルの通り思春期保健に関する講義がメインでしたが、全てのライフステージに関係する内容も多々あったので、何回かに分けてみなさんにもお伝えしようと思います。

 

今回は・・・

「性と生殖に関する健康と権利」

(Sexual Reproductive Health/Rights  以下SRH/R)

 

<SRH/Rのいきさつ> 

1978年にWHO(世界保健機関)が、“全ての人々に健康を”を目的に、健康の定義を「健康とは、単に病気にかかっていない、病的状態が存在しないというがけでなく、身体的、健康的および社会的に完全に良好な状態をいう」と宣言しました。

それをうけ、1990年にファタラという産婦人科医が、女性の健康という視点に置き換えて、以下のように定義しました。

 

<SRH/Rとは>

 「リプロダクティブ・ヘルスとは、生殖の過程に単に病気や異常が存在しないだけでなく、生殖の過程が身体的、精神的および社会的に完全に良好な状態で遂行されること」

 

 この定義をみなさんに置き換えると

①良好な恋愛ができる。(対等に、敬意を持って付き合える)

②良好な性交が行なわれる。(自分や相手の体を知り、性感染症や妊娠に関して話し合い、合意の下で性交を行なえる。)

③望まない妊娠や性感染症に関して、自己決定権を持ち、安全な治療が受けられる。

④良好な不妊治療が受けられる。

⑤安全に妊娠と出産ができる。

⑥生まれた時から、赤ちゃんが良好な子ども時代を送れる。(虐待から守られる)

・・・と表すことができます。

 

 皆さんはSRH/Rを自分のものにできていますか?

デートDVやリベンジポルノを受けていませんか?

避妊や性感染症予防を相手にゆだねていませんか?(あなたと相手は正しい知識を持っていますか?)

人工妊娠中絶や性感染症の治療によって、心は傷つけられていませんか?(相手や周りの人や医療関係者から心ない対応をされていませんか?)

 自分のライフプランを描くための知識を持っていますか?必要なときは自分とパートナーの納得の行く不妊治療を受けていますか?

 母子ともに健康な妊娠・出産をできるような医療を受けていますか?

 赤ちゃんを健やかに育てられるサポートを受けていますか?

などなど・・・。

 

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 日本人は「人権」に関して、まだまだ関心が薄いかもしれません。

これを期に「自分と自分の大切な人の健康と権利」を考えてみてくださいね。

尿漏れ、尿失禁 悩んでいないで婦人科に受診を

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秋の空気を感じてきましたね。ブタクサなどの秋花粉が舞い始めてきました。

皆さんはこんな経験ありませんか?

突然襲うくしゃみで チョロ あっ!!

風邪をひいて止まらない咳に思わず うっ!!

軽く持てると思った荷物を持ったら意外と重たくて あ、マズイ・・・(@_@;)

さっきトイレに行ったばかりなのにムズムズ・・・もれそう・・・。

 このような経験は成人女性の4人に1人が経験すると言われています。

 

 

尿漏れの分類と頻度

 

女性の尿漏れは3つに分類できます。

■腹圧性尿失禁:咳やくしゃみ、大笑いすると漏れてしまう。重い荷物を持った時に漏れてしまう。

■切迫性尿失禁:トイレに行くまで我慢できない。トイレに行く回数が増えた。トイレに行ったばかりなのにすぐに行きたくなる。

■混合性尿失禁:腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両者が存在するもの

 

頻度としては、腹圧性尿失禁が約50%と最も高く、次いで切迫性尿失禁が約20%、混合性尿失禁が30%となっています。

 

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尿失禁の原因

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私たちの下腹部にある内臓(膀胱・尿道・子宮・膣など)は骨盤の中で保護されています。その内臓を支えている筋肉を骨盤底筋と言います。出産や加齢に伴い、骨盤底筋群が脆弱化して膀胱や尿道が下垂することで、尿漏れを引き起こします。

妊娠中には約半数以上の妊婦さんが尿漏れを経験し、出産後は自然に改善すると言われていますが、尿漏れが続く場合には早めにご相談ください。

 

 

産婦人科受診のすすめ

 尿漏れはあるけど、どこにかかればいいのかよくわからない。泌尿器科?という方もいるかと思います。

産婦人科外来では、尿漏れ、尿失禁による症状・障害をスコア化して、治療方針の決定、治療効果の判定しています。先ずは悩んでいないで、産婦人科外来にご相談ください。

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お産のサポートだけじゃない!!助産師のお仕事~思春期講座~

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 2017年8月22日に病院探検がありました。(当院では子育て支援の一環として、毎年夏休みに病院探検を行なっています。)

今年はその中で、小学4~6年生を対象に

「思春期ってなぁに?~自分たちの心と体を知ろう!~」

というテーマで、助産師が思春期講座を行いました。

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 実際に使用したパワーポイントを載せながら、内容を紹介します。

 

目標1.赤ちゃん誕生について知ろう

赤ちゃんはどうやってお母さんのお腹に来るのか、どこから産まれてくるのかをクイズ形式で小学生に答えてもらった後、卵子精子が出会うまでの物語とお腹の赤ちゃんが生まれて来るまでの成長を話しました。

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実際に生後2か月の赤ちゃんとママに来てもらってお話をしてもらったり、少し抱っこさせてもらったり...

赤ちゃんと会った参加者からは、「軽い!小さくて可愛い❤」「赤ちゃんを産むのは大変なことなんだと分かった」などの感想が。

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目標2、心と体の成長について知ろう

体は勝手に大きくなるけれど、「外での運動・1日3回バランスの良い食事・早寝早起き」をすることで更に健康に成長できることを伝えました。

夏休みということも合って、中には0時に寝て9時に起きるという子も。

昼食でおにぎりと具だくさんすいとんを食べながら、栄養や1日3回のバランスよい食事について一緒に復習しました。

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心は体と違い勝手には成長しないこと、様々な悩みに直面したときに「考えること」「行動すること」「頑張ること」などの解決する努力を重ねることで、心は大人になっていくことを伝えました。

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目標3、心と体の守り方を知ろう

 船橋市では2017年4月~8月中旬までに24件の小中学生への不審者情報が挙がっていることを、みなさんはどう受け止めますか?多い?少ない?

内訳は女子が大半ですが、男子の被害報告も相当数あります。

✿体を守るために・・・

 「水着で隠れているところをプライベートゾーンって言うけど『触られたら嫌だ』と思うところは守ること」、「不審者に遭った時の対処法」を伝えました。

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✿心を守るために・・・

「小学4年生~中学3年生までの6年間で『仲間はずれ・無視・悪口をした・された経験回数』が1回以上ある子は、どちらも9割以上」という統計結果があります。いじめた自覚はなくても相手は傷ついているかもしれないこと、誰でも加害者にも被害者にもなりうることを伝えました。

また、心が成長していくと〝好きのかたち“も〝価値観”も多様化していくこと、周りに否定されても自分の気持ちを大切にしてほしいこと、自分の心を大切にすることだけではなく、相手の心も大切にしてほしいと伝えました。

 

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気になる小学生の感想は・・・

「思春期という言葉は知っていたけれど具体的な意味は分からなかったので、すごく面白かった」「大人になると、体だけじゃなく心も成長することが分かった」などなど、嬉しい反応がたくさんありました。

 

高校生ボランティアの感想

病院探検には4人の高校生ボランティアが参加してくれましたが、たまたま皆〝助産師志望“!!

彼女たちの感想は・・・

「今の私たちに必要なことが分かった」「赤ちゃんの心音が聴けて良かった。あんなに早いと思わなかった」「子どもたちに教える活動の場に参加して、助産師の更なる一面を見ることが出来た」と思春期としてだけではなく、将来を見据えた反応もありました。

 

スタッフの感想

今回、私たちとしては初の試みだった上にデリケートな内容だったため、スタッフ一丸となって作り上げました。

反応が楽しみ半分不安半分でドキドキでしたが、「やっぱりニーズはあるんだな」と実感できました。

また機会があれば、色々な内容の思春期講座を開きたいと考えています。

 

ご意見等ある方は、こちらへ

toiawase@futawa-hp.jp

 

思春期講座内での参考・引用元は下記

  • 犯罪予防と健康づくり(岩室伸也20170728)パワーポイント
  • 浅井春夫 他:あっ!そうなんだ!性と生―幼児・小学生そしておとなへ、エイデル研究所、2014年

 

タバコについて

タバコによる健康被害

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 肺がん、胃がんなど様々な健康被害をもたらすことがわかっているタバコ。

 

 

 タバコの主流煙は約5300種類の化学物質を含み、そのうち約70種類は発がん性があるといわれています。副流煙の成分も主流煙とほぼ同じですが、主流煙より副流煙の方が有害物質を多く含む場合もあることが指摘されています。

 

 

 WHO(=世界保健機構)は、毎年500万人が能動喫煙によって、60万人が受動喫煙によって死亡し、2004年に死亡した児童のうち28%は受動喫煙が原因であると指摘しています。日本での研究によると受動喫煙を原因とする疾患により年間1.5万人が死亡しているとの報告があります。

 

 

 

女性・子供への影響

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 私たち産婦人科スタッフがここでお伝えしたいのは特に女性や子供たちへの影響です。喫煙がもたらす健康被害はがんだけではありません。(ここでの「喫煙」は能動喫煙・受動喫煙の両方をさします。)

 

 

 まず、女性が喫煙することにより、妊孕性(妊娠する力)が低下するといわれています。妊娠中に喫煙をすると、自然流産・早産(妊娠36週以前での出産)や異所性妊娠(子宮以外での妊娠)のリスクが増加します。

 

 

 当然、お腹の赤ちゃんへも影響します。ママと赤ちゃんをつなぐ臍帯(へその緒)は赤ちゃんがお腹の中で生きていく上で必要な酸素や栄養を運んでくれる命綱です。タバコは血管を収縮させる作用があります。その作用により、臍帯の血管も収縮し、赤ちゃんにうまく酸素や栄養を運べなくなります。そのことにより、低出生体重児(出生時体重が2500g以下)の可能性が非喫煙者と比較し2倍に増加、周産期死亡(妊娠28週以降の死産と生後1週間以内の早期新生児死亡)のリスクも増加してしまいます。

 

 

 産まれてきた子供への影響(受動喫煙によるもの)としては、乳幼児突然死症候群SIDS)の原因の1つといわれています。 SIDSは、何の予兆や既往歴がないのにもかかわらず、乳幼児が死に至る病気です。平成27年度には96名の赤ちゃんがSIDSでなくなっており、乳幼児期の死亡原因の第3位となっています。

f:id:hutawa-ohana:20170824094115p:plain受動喫煙防止シンボルマーク - すぐ禁煙.jp(ファイザー)

 

 妊娠中、母親が喫煙していたことにより乳幼児期の肺機能が低下したり、注意欠陥・多動性障害(ADHD)などの子供の発達に関連するともいわれています。このように喫煙により数々の影響が出てくるのです。

 

 

 妊娠したいから、妊娠したからと言って女性・ママだけが禁煙すればよいということはありません。男性・パパはもちろん、おばあちゃんやおじいちゃんにも禁煙をお願いしたいのです。

 

 

 

日本の喫煙規制は遅れている・・・?

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そうはいっても、

喫煙者の方は

「自分の身体は自分のもんやー!!」

健康被害があるとわかっていても吸いたい!実際に病気になったとしても吸い続ける!

やめなきゃいけないとは思っていてもどうしてもやめられない。

 

 

非喫煙者の方は

他人のタバコで、なんで自分が病気にならなきゃいけないの?

そこらじゅうで吸われると迷惑。

と、両者の意見があると思います。

  

 

 そこで求められるのがしっかりとした制度!!分煙や一定の限られた場所での喫煙・禁煙ではないでしょうか。

 

 

 2020年にはオリンピックが開催されます。WHO(=世界保健機構)とIOC(=国際オリンピック委員会)はともに、タバコの無いオリンピックを目指しています。2003年以降のすべてのオリンピック開催地で、原則すべての屋内施設を全面禁煙とする罰則付きの喫煙規制が実施されています。

 

 

 わが国でも、2020年に向けて屋内全面禁煙を求める機運が高まっています。しかし今現在、罰則規定はなく、世界と比較すると日本は後れを取っていると言わざるを得ません。

 

 

 

禁煙治療について

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 現在習慣的に喫煙している人のうち、タバコをやめたいと思う人の割合は24.6%、タバコの本数補減らしたいと思う人は33.5%です。

 

 

どうしたらタバコを止められるか...

 

 

なかなかやめられない喫煙はニコチン依存症ですので、

「よっしゃ!やったるでー!!」

といったやる気や気合だけでは乗り越えられません。

 

 

タバコをやめたいと考えている人には禁煙外来をお勧めします。

禁煙治療は禁煙外来を開設している医療機関で受けることができます。一定の要件を満たせば、健康保険で治療を受けることができます。

 

禁煙希望のある方はぜひ一度、禁煙外来を受診してください。

 

 

 

参考文献・資料

最新たばこ情報 

厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイトhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco

国立国会図書館 調査及び立法考査局社会労働課 宍戸真梨、受動喫煙対策の動向―我が国と海外の屋内公共施設における喫煙規則―、国立国会図書館

夏休みを楽しい思い出に~女性の心得3.アバンチュール編~

 

 「恋の季節」「ひと夏の思ひで」・・・

この時期はファッション誌でも男女問わず、恋愛を意識した特集が多く組まれていますよね。

 皆さんも“なま足が出せる美脚”“水着が似合うスタイル”“周りの目を惹くコーデ”など気になる記事だと思います。

 

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 夏は、ココロもカラダも開放的になって・・・♥♥♥

素敵な恋愛や授かり婚など、ハッピーエンドを迎える人がいる中で、「望まない妊娠」「性感染症」など、人知れず「カナシイ」・「ツライ」経験になってしまう人も。

 

 

「私は大丈夫だったよ」「友達は平気って言ってたよ」は結果論!!

硬い表情で診察室に入ってくる人や、性感染症で見た目が変わってしまった外陰部を、私たちは何度も目にします。

 そこで今回は、「ファッション誌では教えてくれない大切なこと」を産婦人科目線でお話ししようと思います。

 

 

※アバンチュールとは:「冒険(大辞林より)」・「『冒険』を意味するフランス語の単語。転じて、『恋の冒険』『危険な恋』を指す。(フリー百科事典『ウィキペディア』より)」

 

 

アバンチュール心得

 

⚠パートナー以外と性交渉を持つ前に一旦立ち止まる。

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「いつもと違う環境では相手は3割増しで素敵に見える。」

これは、興奮している時に出る“交感神経”の作用により、瞳がキラキラ見えたり、心拍上昇で恋と錯覚したりすることによります。

次に会った時には冷静になっているので、「なんでこの人にドキドキしたんだろう」と我に返ることも。

 「あったばかりのこの人と、本当にシテ良いのか」よく考えてみましょう。

 

 

SEX(性的接触)をする時は「自分の身は自分で守る」。

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①合意の場合でも100%相手に任せず、自衛できるスキルを持って臨みましょう。(自衛方法は後述します)

相手がセーフティセックスを熟知しているとも限りません。

またその時は優しそうに見える相手も、いざ妊娠・性感染症を告げたら、突然攻撃的になったり冷たくなったりすることも。

心も体も傷つくのはあなたです・・・

 

②自衛をしても“月経が来ない”“陰部のかゆみやおりものが気になる”などの症状がある時は、早めに婦人科を受診して相談しましょう。

 

もし、妊娠している場合は、子宮外妊娠の場合もあり、これは命に関わる危険性もあります。

人工妊娠中絶をすることになった場合は、法的に手術可能な期間が限られています。一人で悩んでいると、あっという間にその期限が来てしまいます。

早めに受診しましょう。

 

 

 

⚠強姦・和姦の場合:これは「犯罪」です!!

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夏の雰囲気に開放的になっているのは自分だけではありません。

皆さんの魅力に相手も自制が効かないことも。

自衛できないまま強姦されてしまった場合は、以下のどれかに相談してください。

 

①警察

「#8103(ハートさん)」

性犯罪被害相談電話

#8103とは性犯罪被害相談の全国共通番号です。そこにかけると自動的に各都道府県の相談窓口につながります。

 

・相手の体液を洗い流さずに、安全を確認した上で電話をしましょう。

・恐怖心などで、その場で通報できない時もありますよね。後日でも、通報することはできます。

 

 

②病院受診(産婦人科心療内科

婦人科を受診し、緊急避妊ピルの内服(72間以内)やその後の性感染症検査を受けましょう。

傷ついたのは体だけじゃない。数年経った後に心に障害が出ることも。

通報できなかった人は信頼できる人(家族や友人など)に話して、かかりつけの産婦人科心療内科を受診しましょう。

 

 

 

③下記のような性被害者支援団体に相談することもできます。

性暴力被害者支援ワンストップセンター

RC-NET/レイプクライシス・ネットワーク

レイプクライシスセンター TSUBOMI | 私達は性暴力(レイプ・ちかん・ストーカー等)の被害にあわれた方の支援をおこなうNPO法人です。 | 性暴力(レイプ・ちかん・ストーカー等)の被害にあわれた方の支援をおこなうNPO法人です。

 

 

⚠「妊娠希望」でない限り、コンドーム使用する。

 

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産婦人科スタッフとしては、「特定な人とのみ、バースコントロールも希望通りに」をお勧めしたいところですが、「私は色々な人と楽しみたい」というポリシーの方もいたりします。

 そういう場合は「避妊」だけでなく、「性感染症をもらわない・拡げない」ことも大切になってきます。

 自分だけでなく、相手や相手のパートナーにひいてはその後のパートナーや生まれる赤ちゃんに感染させないように考えてみてください。

性感染症(STI)の種類と特徴 | 避妊のススメ

 

⚠自衛方法を知る。~避妊と性感染症STI)予防~

①避妊方法は様々あります。あなたのライフサイクルに合った方法を選びましょう。

詳しくは

さまざまな避妊法 | 避妊のススメ

 

STI予防はコンドームでしか出来ません。

しかも理想的な使用でないと、守れません。

正しいコンドームの使い方をチェック!!

コンドームの正しい着け方 - YouTube

 

 

長々と語ってしまいましたが、みなさんこういうことを頭の片すみに置きながら、「素敵な夏の思い出」を作ってくださいね。

 

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夏休みを楽しい思い出に~女性の心得2.ピルをのんでいるかたへ編~

夏休みの海・山・海外旅行、学生さんだとホームステイや修学旅行など、月経周期をずらして楽しみたいと考えている人もいますよね。 

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また、月経困難症でピルを内服している方もいらっしゃいますね。

今回はそんな、ピルを内服している方が、お出かけのときに気をつけたいことをお話します。

 

 

エコノミー症候群は、広く知られるようになり、今は飛行機内でもストレッチなどの紹介をされますね。

 

ピルを内服している女性では、まれに血栓症が起こることがあります。

 

血栓症とは・・・

血管内に血の塊(血栓)が詰まる病気で、早急な対応をしないと命にかかわります。

 

予防できることとして、弾性ストッキングの着用・飛行機内での足のストレッチなど。

また、脱水で血液がドロドロになると血栓が出来やすい状態ですので、水分をしっかり摂ることが大切ですね。

水分は、利尿作用のあるお茶や、コーヒー・紅茶などは、尿として出てしまうので、ノンカフェインのお茶や水などを選んで摂るといいですよ。

 

ぜひ、参考にしてみてくださいね。

夏を楽しい思い出に~女性の心得1.妊婦編~

 連日の猛暑日、皆様いかがお過ごしですか?もう夏の予定は立っていますか?

 海・山・プール・お祭り・旅行・・・

ちょっと長めの休みを取って、いろいろ計画を立てている方も多いと思います。

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1年で一番ワクワクする季節である一方、日常から離れ、緊張が取れて、いろいろなトラブルが起きる季節でもあります。

 

今回は様々なライフサイクルの女性に向けて、「楽しい夏を悲しい思い出にしない為に」シリーズでご紹介しようと思います。

 まずは、妊婦編

 マタニティサマー       

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人生の中で「マタニティーサマー」はそう多くない。

楽しい夏をおなかの赤ちゃんと共に過ごしたいと思っている方もいらっしゃいますよね。

日本ではマタ旅(=マタニティ旅行)ブームも起きています。

 

その楽しい旅行計画に水を差すようですが、その計画ちょっと待ったーー!!

と言いたいのが産婦人科スタッフの本音です。

 

夏に限らず忘れてはならないのが、

「妊娠期間は人生の中ではハイリスクな時期」

だということ。

 

「母子共に無事に出産」が当たり前のこの時代ですが、

「切迫流早産」「破水」「妊娠高血圧症候群」etc…誰にでも起こりうる急変です。

 

もちろん、なんともなかった。という妊婦さんもいます。

以前、妊婦健診で「グアム旅行楽しんできました」と笑顔の報告を受けて目が点になったこともありました。

 

ですが“何もなかった”は結果論。ムリな遠出はお勧めできません。

 

少し怖い話・・・       

可愛いネズミさんのいる某テーマパークのお話…

千葉県のある病院では、某テーマパークとその周辺施設から救急受診した妊婦さんは4年間で129名。約63%が切迫流産・切迫早産と診断。約15%が入院し、そのまま分娩に至った方もいました。中には、常位胎盤早期剥離で超緊急の帝王切開となった症例もあったそうです。

 

夢の国の魔法ではどうにもならないことが現実にあるのです。

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 ※常位胎盤早期剥離とは、赤ちゃんが生まれる前に、胎盤が子宮からはがれてしまうこと。胎盤がはがれると、赤ちゃんへの酸素や栄養の供給がストップし、危険な状態になってしまいます。

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特に海外での体調悪化は怖いです。

                    

実際にあった事例をご紹介します。

妊婦さん:カナダ在住の妊娠6カ月

旅行先:ハワイ・マウイ島

経過:旅行2日目に破水、ホノルルの大病院に空輸搬送。6週間の安静の後、正期産より9週早く出産。赤ちゃんはNICUで2か月にわたるケアを受ける。

医療費(空輸搬送含む):95万ドル(日本円にして約1億1400万円)。

その他費用:赤ちゃんが退院するまでのハワイ滞在費用

 

この事例はカナダ在住の妊婦さんですが、日本人が同じようにハワイで出産しても高額請求される可能性があると考えてください。お金のことを考えただけでも怖いですが、知らない土地での出産・入院は精神的にも負担が大きいですよね。

 

 

 また、自分では気を付けていても、イベントなどの大勢が集まる中で、思わぬ事故に巻き込まれたら?

 誰が、自分とおなかの赤ちゃんを助けてくれるでしょうか?

 

 

楽しいマタニティーサマーを送るために・・・

 

心得ポイント!!        

①事前にかかりつけの産婦人科医に相談を。

 

②旅行先で急変した時は多額の医療費や宿泊費がかかる可能性があることを覚悟して行く。

 

③家族でしっかりと話し合って、ムリのない計画をたてる。上のお子さんがいる場合は、周りの力も借りましょう。

 

④人ごみでは手洗い・マスクで感染予防を。

 

母子手帳や保険証を忘れずに。

 

血栓予防にこまめな水分補給を。

  妊婦さんは血栓(=血の塊)ができやすくなっています。夏で汗もかきますし、体の水分が不足するとさらに血液が滞り、血栓ができやすくなっています。

 

⑦バッグに「マタニティーマーク」を。

(賛否両論ありますが、緊急時には目印になります)

 

 怖い話もしましたが、楽しい夏を過ごすためにもおなかの赤ちゃんと自分の身体を1番に考えてくださいね。

 

 

参考文献

今野秀洋ほか:医学の窓 妊娠中の旅行に関する危険性について 東京近郊にある巨大テーマパークからの産科緊急受診に関する検討より、千葉県医師会雑誌、6巻6号、p303-308、2014.06