戌の日ってなぁに?
新年あけましておめでとうございます
今年は「戌年」ですね。戌と言えば産婦人科では「戌の日」です。
ここで「戌の日」についてお話したいと思います。
日本には十二支、干支によって日付を表す方法があり、その中に「戌の日」があります。12日に1日の割合でやってきますので、月に2~3回は「戌の日」が来ることになりますね。
「戌の日」といえば、産婦人科では、着帯の儀式が浮かびます。
妊娠5カ月最初の戌の日にお腹に腹帯(岩田帯)を巻いて、安産祈願する風習のことです。
これは日本独自の人生儀礼で「帯祝い」ともいわれ、無事に赤ちゃんが生まれてきて欲しいという願いがあります。
ではいつからこのような風習がはじまったのでしょうか。
*腹帯をお腹に巻く由来
この風習の始まりは古く「古事記」が起源である説が有力だそうです。
古事記によると
仲哀天皇(14代)天皇の皇后、神功様が妊娠中に三韓(現代の韓国)を討伐に行ったとき身ごもっていたお腹を守るために、帯の中に石を挟みいれてお腹に巻きつけていた。その後無事に帰国して、出産することが出来た。
と書かれています。これが言い伝えられこの時に巻いた帯が、後の腹帯(岩田帯)になったといわれています。最近では、岩のように頑丈な体で健康な赤ちゃんが生まれるようにとの願いがこもっているという話が一般的のようです。・・・なるほど!丈夫な子供が産まれそうな由来ですね。
*なぜ「戌の日」に安産祈願なのでしょうか?
他の動物に比べて犬はお産が軽く、一度にたくさんの子供を産むことにあやかり、日本では安産の守り神として崇めてきました。また、一説によると犬は悪霊を追い払い,狐狸などからも子供を守る話もあります。お宮参りの際に犬をかたどった「犬張り子」が用いられるのも、魔よけの一種で子供のお守りになっていることもあり「戌の日」になっているようです。また、「戌の日」でなくても同じような由来があるのが、「鼠の日」です。
確かに鼠もたくさん産みますね。妊娠5カ月の戌の日に都合がつかなかったら、「鼠の日」に祈願してもらうのもご利益がありそうですね。
*安産祈願が妊娠5カ月なのは?
妊娠5カ月は、胎盤がしっかり形成される時期でいわゆる安定期です。流産せず無事に5カ月を迎えられた事を祝い、その後も出産まで何事もなく迎えてほしいという事で妊娠5カ月になっているようです。地域によっては、妊娠3カ月や7カ月のところもあるようですよ。
昔は、妊娠しても途中で流産してしまったり、お産で命をおとしたりする方が多く、子供を大切に思う昔の人の願を感じませんか。
*安産祈願でいただいたさらし布のその後のどうする?
今は、さらし布は実用的でないと、ガードルタイプや腹巻タイプが主流になっています。
安産祈願というよりは、腰痛予防・保温・お腹の保護が目的です。安産祈願でいただいたさらし布は、赤ちゃんの物にリサイクルできます。祈祷している布なので赤ちゃんを悪霊から守ってくれるお守りになりそうですね。
今では、様々な実用的なものが多く、実際にさらしを使用する方は少ないです。でも、このような思いの詰まった「人生儀礼」は、素敵だと思います。皆さんも、戌の日に安産祈願で腹帯を巻いて、1日過ごしてみてはいかがですか?
*産婦人科外来では、腹帯(岩田帯)の巻き方をお教えする「着帯指導」があります。
戌の日に巻くことができますので、巻き方の分からない方はご相談ください。
2018年戌の日カレンダー
2018年戌の日カレンダー |
|||
1月 |
6日(土)赤口 |
18日(木)先勝 |
30日(火)先勝 |
2月 |
11(日)先勝 |
23日(金)友引 |
|
3月 |
7日(水)友引 |
19日(月)仏滅 |
31日(土)仏滅 |
4月 |
12日(木)仏滅 |
24日(火)大安 |
|
5月 |
6日(日)大安 |
18日(金)先勝 |
30日(水)先勝 |
6月 |
11日(月)先勝 |
23日(土)友引 |
|
7月 |
5日(木)友引 |
17日(火)仏滅 |
29日(日)仏滅 |
8月 |
10日(金)仏滅 |
22日(水)赤口 |
|
9月 |
3日(月)赤口 |
15日(土)先勝 |
27日(木)先勝 |
10月 |
9日(火)先負 |
21日(日)先負 |
|
11月 |
2日(金)先負 |
14日(水)仏滅 |
26(月)仏滅 |
12月 |
8日(土)赤口 |
20日(木)赤口 |
|
戌の日の由来:引用文献はこちら