かかりつけ産婦人科を持って素敵な人生を!② ~子宮体がん~
子宮がん検診の時に経膣エコーは必要?
子宮がん検診のとき「エコーを希望されますか?」と聞かれて、迷うことがあった方もはいませんか?
実は「子宮がん検診に来たのに子宮のどこを見ているのかわからない」方も多いのではないでしょうか?
前回は子宮頸がんについてお伝えしましたが、もっと理解していただくために、今回は子宮体がんについてお話をしていきたいと思います。
子宮体がんはどこにできる?
子宮体がんはどの年代の方がなりやすい?
子宮体がんの発生率
子宮体がんは40~60代に多く、特に50代女性がピークといわれています。
ここでクイズです!!
Q1 子宮体がんの原因はウイルスである
女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)とエストロゲン(卵胞ホルモン)、2つは互いに拮抗しあいバランスをとることが良いとされていますが、そのバランスが崩れ、長期にわたりエストロゲンにさらされている状態になると体がんを発生しやすくなるといわれています。約8割がエストロゲン依存性と言われています。
Q2 肥満は子宮体がんになるリスクが高い?
脂肪細胞によりコレステロールからエストロゲンが合成されるため、長期にわたる肥満はリスクになるといわれています。
他にも長期にわたりエストロゲンにさらされる原因として、エストロゲン製剤の長期投与、卵巣機能の異常、妊娠したことがない・出産経験がない・閉経が遅い(毎月月経周期によるエストロゲンの刺激を受け、その期間が長い人)などがあります。
Q3 子宮体がんは症状がない?
子宮体がんは閉経後の不正出血が主な症状であり、少量の場合は褐色から黄色でおりものに混じっている場合もあります。体がんが進行し骨盤内組織に浸潤するようになると痛みを伴う場合がありますが、無症状でみつかることもあります。
子宮体がんには2種類あり、エストロゲン依存性に発生するもの(Ⅰ型)と原因は別のもの(Ⅱ型)があります。
子宮体がんの多くはⅠ型であり、Ⅰ型は子宮内膜が増殖し始め、異型内膜増殖症となり子宮内膜がん(体がん)となるため、前がん病変の「子宮内膜増殖症」として診断されることがあります。
割合は少ないですが、Ⅱ型は異型増殖を起こさずに発症します。
結果の見かた
陰性 |
小さい病変では陰性となる場合もある。 |
陽性 0期 |
子宮内膜異型増殖症 |
Ⅰ期 |
子宮体部にガンが限局 子宮筋層に浸潤 |
Ⅱ期 |
ガンが子宮体部と頚部に及ぶ |
Ⅲ期 |
子宮外に広がり、リンパ節転移もある。 |
Ⅳ期 |
膀胱や直腸、骨盤まで広がる |
治療方法
・子宮内膜増殖症(体がんの前段階)と診断された場合
内膜組織診を行います。経過観察にて病変が消えなければプロゲステロン作用のある薬を使用することもあります。
また、異型増殖を認めれば、内膜掻爬を行ないます。
*内膜掻爬は治療と検査を兼ねたものになります。
・異型増殖を認め、今後妊娠の希望がない場合や体がんへの著しい進行が認められた場合は、子宮全摘術となります。がんの広がり方によっては、広範囲に卵巣や骨盤内リンパを取る場合もあります。その後、化学療法、放射線治療も行なっていきます。
次回は卵巣がんについてお伝えします。