マタニティブルーと産後うつ
皆さんは「マタニティーブルー」と「産後うつ」、この二つの言葉の意味の違いを知っていますか?
よく症状が似ていることから、同じものだと思われやすいですが、実はこの2つは別物なのです。
ふたつの違いは
「マタニティーブルー」とは、ホルモンバランスが変化しやすい、出産後2~3日目など早期に出現するもので、気分の落ち込みや不安感などの症状が続き、通常1ヶ月以内に妊娠前と同じ状態へ戻ることを言います。大きなポイントは一過性であるということです。
一方、「産後うつ」とは産後数週間から数ヶ月経ってから発症するもので、ホルモンとは関係なく、脳内の伝達物質の不足により、気分の落ち込み・自信が持てない・ここから居なくなり消えてしまいたい....など悲観的に物事を捉えてしまいます。マタニティーブルーが一過性であるのに対し、産後うつは通常の「うつ病」と同じです。
なぜ、このようなことが起こってしまうのでしょうか。
例えば、ママは赤ちゃんのちょっとした変化に気付けるように、常にアンテナを張り巡らせて電波(情報)を拾っていて、妊娠前には拾わなかった周りからの言動や行動に対し、全て受信してしまい、上手く処理できずにパンクしてしまうからかしら。
または、妊娠中に「こんなママになりたい。」「ママだからちゃんとしなくちゃ。」「ママはこうあるべき!」という理想や目標を掲げていたのに…心と身体のペースが合わなくなってしまい、現実は理想通りに行かなくて、ショックや責任を感じてしまっていたり?
実は、去年妊産婦死亡の死因第一位である出血で亡くなった方よりも、産後うつによる自殺で亡くなる方が2倍も多いと言う衝撃的なニュースが発表されました。
核家族が多く、誰かと話す機会や環境を作りにくいママが沢山いると思いますし、これからどんどん増えてくるのではないかと考えられます。皆さんの身近にもいるかも知れません。
里帰りから帰ってきたママなど、家では赤ちゃんと二人きり…スヤスヤと寝ている時は良いけれど、赤ちゃんに泣かれるのがつらい...または怖い...と感じたりしていませんか?
産後うつ病質問診票
産後うつ病の可能性を調べる簡単な質問票というものがあります。点数が高いほど産後うつの可能性が高くなり医療機関への受診が必要です。
産後うつにならないようにするには?
それは、マタニティーブルーが悪化すると産後うつになりやすいということが鍵です。そして、マタニティーブルーは誰にでも起こりうるということを知っておいて下さい。
マタニティーブルーの時点で、早期に家族や友達、またはファミリーサポートや医療機関などの関わりがとても大きいと感じます。
①食べていますか?
②寝ていますか?
③(感情や便を)出していますか?
産後のママやご家族には「これができていない時には産婦人科に受診を」とお伝えしています。
ママさん☆自分の不安や悩み、弱い部分などの想いを誰かに伝える…
いや!ぶつけるぐらいの勢いでいましょう。
パパさん。家に帰ったときの奥さんの顔どうですか?
違います…。表情はどうですか?疲れていませんか?笑顔はありますか?
「ありがとう」の感謝
「愛してる」の愛情
「お疲れ様」の労わり
「一人じゃないよ」の寄り添い
会話って大切ですね。もちろん、パパさんも遅くまでの仕事、通勤ラッシュでの満員電車、上司・部下へのストレス…?などなど、家族を守るため日々本当にお疲れ様です。そしてありがとうございます。
さいごに
人は余裕が無くなると焦り、不安、イライラが増強しやすくなりますよね。出産後のママさんたちは、そこにホルモンの劇的な変化が加わる為、さらにその気持ちは強いものへと変わりやすいです。
そんなママさんへ、当院の産婦人科では「一人ぼっちのママを作らない」をモットーに妊娠中から産後まで、地域に根付いた関わりやケアを日々大切にしています。
当院では以下の教室を行なっており、他院でお産した方でもどなたでも参加できます☆いろんな力を借りて、手抜き・息抜きを心がけることがポイントです!
スタッフ一同お待ちしています☆
「 カンガルー広場」
「授乳・育児サポート外来」