ふたわ✿産婦人科

千葉県船橋市にある病院の産婦人科。産婦人科医・看護師・助産師によるブログ。現在、分娩休止中ですが再開予定のため、医療・保健活動は継続しています。このブログでは、産婦人科にまつわることなら病気のことだけでなく、他人には聞きづらいこと、ちょっとした疑問にお答えしていきます。個人的な質問にはお答えできません。

性と生殖に関する健康と権利  ~妊娠編1~

 

                   

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 あなたの将来の夢は何ですか?何でしたか?

“こんな仕事につきたいな”“お嫁さんになってママになる”など・・・夢は大きく膨らんでいませんでしたか?

 では、実際の自分は今どうしていますか?

 夢をかなえた人、まったく違う道だけど、満足のいく人生を送っている人・・・様々だと思います。

 中には“子どもはいつか欲しいけど、今は任されたプロジェクトを優先したい。”

という「キャリアウーマン」の方もいらっしゃるでしょう。

だけど、“職場が人手不足だから妊娠すると迷惑かけちゃう”と、自分のことを二の次にしてしまうのは、婦人科的には「ダメ・ウーマン」。

 

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   生殖医療の技術も日進月歩して、昔よりも高齢出産が可能になっています。

ですが、私たちの卵子精子は進化していないため、幸せな出産までには、時に悲しい体験や莫大な費用が付きまとうのが現状です。

 

 先日女性の「性と生殖に関する健康と権利(Sexual Reproductive Health/Rights)についてご紹介しました。

(詳しくはこちら↓)

hutawa-ohana.hatenablog.com

 

  そこで今回は、「妊娠に関する健康と権利」について、2回に分けてご紹介しようと思います。

  

1、妊娠豆知識

 卵子が年々老化すると言うのはよく言われていることです。

それはどうしてかと言うと、「卵子年齢=自分年齢」だからです。

 卵子(原子卵胞)とはあなたが胎児だったころからのお付き合い。

体内の卵子も自分と同じ年齢を重ねていきます。

高齢妊娠のリスクに染色体異常児の出産や染色体異常による流早産があるのは、多く知られるようになって来ましたが、その上、卵子は胎児の頃からどんどん減少していくことをみなさんご存知でしたか?

 「卵子は胎生20週(=母体の妊娠20週)で約700万個にまで急増して、出生時には200万個まで減少。思春期には20万個まで減少。そこから排卵が始まり徐々に使われていき、閉経時(50歳ごろ)は0に近づく」

 卵巣機能も徐々に低下していき、着床・妊娠継続能力が下がります。

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  一方精子は「精母細胞」という精子の元を胎児の頃から持っていますが、「精子」と呼ばれるものが作られ始めるのは思春期になってから。

卵子と違い“0”になることはなく毎日作られ、1回の射精で約2億匹が外に出ますが、すぐに次の精子がスタンバイします。

(男性著名人が60代や80代でパパになっていることは皆さんもご存知だと思います)

と、まとめている時に、見つかりづらい男性不妊に関する新しいニュースが入ってきました!!

www3.nhk.or.jp

女性だけでなく男性も、「子どもが欲しいか、何人欲しいか」を意識して、主体的に計画を立てておく必要があります。

 

 

2、ライフスタイルに左右されるライフプラン

 そうは言ってもいざ仕事が楽しくなる20台後半からは、今まで描いていたライフプランよりも日々のライフサイクルが優先されることが現状です。

毎月の勤務シフト、任される仕事などなど・・・。

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※これはあくまで一例です。

  「働き方改革(ワークライフバランス)」で経営者が福利厚生を改善しても、各職場での暗黙のルールや考え方は簡単には変わらず、実際制度を利用するのをためらってしまうのが現状かもしれませんね。

もちろんパートナーのライフスタイルにも左右されます。

ですが、前述したとおり“妊娠にはタイムリミットがある”。

 「“いつか恩返しはできる”、自分を優先する勇気」と「パートナーとのすり合わせ」を忘れずに、自分のライフプランを第一に行動して下さいね。

 

   今回は「心の準備]まで。

   まだまだいろいろお伝えしたいことがあるので、「性と生殖に関する権利 妊娠編2」も見に来てくださいね。