ふたわ✿産婦人科

千葉県船橋市にある病院の産婦人科。産婦人科医・看護師・助産師によるブログ。現在、分娩休止中ですが再開予定のため、医療・保健活動は継続しています。このブログでは、産婦人科にまつわることなら病気のことだけでなく、他人には聞きづらいこと、ちょっとした疑問にお答えしていきます。個人的な質問にはお答えできません。

ビックリ都市伝説     やってない??この避妊法

皆さんは避妊方法をどのようにしているでしょうか?コンドームですか?OC(低用量ピル)ですか?病院の避妊指導の中では、コンドームを選択している方が多い印象で、中にはOC(低用量ピル)など併用している方もいるようです。避妊指導をする際、本人が避妊だと思っていたことが、実は正しい避妊方法ではなかったりすることがありました。そこで色々調べてみると、思わずこちらもビックリしてしまう都市伝説内容だったりと、再度声をあげてお伝えしたい!!と思い書かせて頂きました。

 皆さんの中に、「これ実践してる!」と当てはまる方は「ちょっと待ったぁぁぁあ!!」

挿入しないで&挿入させないで下さい。

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① 「某炭酸飲料で洗えば大丈夫」説

 炭酸飲料でどのように洗うのか、炭酸痛くないんでしょうかね。某炭酸飲料による酸性の成分に精子の殺傷能力があると信じられているようですが、医学的根拠はありません。むしろ、膣内を傷つけたり、有益な菌も洗い流してしまい感染のリスクが上がるとも言われています。

酸性ということで梅干しという説もあるようですが、、、危険です。やめて下さい。

教訓 その① 某炭酸飲料も梅干しも膣ではなく口に入れるべし

 

 

② 「愛していなければ妊娠しない」説

  ...。 気持ちだけじゃどうにもならんのじゃー!!  

(はい、もう一度!!)

 教訓 その② 気持ちだけじゃどうにもならんのじゃー!!

 

 

③ 「ジャンプすれば精子が出てくる」説

 「やばい!中に出しちゃった。」「大丈夫☆一緒に1,2,3,ジャンプ!!」

残念ながら、全ての精子は出てきません。また、ジャンプしている間に早い精子は子宮内へ入り込み卵子を求めてひたすら進んでます。

教訓 その③ ジャンプの労力を避妊への学びに費やすべし

 

 

④ 「外出しだから大丈夫」説

 「外へ射精できました。」「それは良かったです。」という事には断じてなりません。射精時の一番初めが最も精子の濃度が濃いとされています。そして、射精時の精子は時速約48.2キロのスピードで飛び出してくるのです。これは陸上で有名なU.B選手が100m世界新記録を打ち立てた時の最高速度を上回る速さと言われています。(「脳の指令は新幹線より速い」サイモン・ロジャース著 より)

それでは女性の方、想像してみて下さい。密着するほど近距離にU.B選手が立っています。そこからスタートのピストル合図など、なんの前触れもなくフライング突進して来た時に、サッと身を避けることができるでしょうか。

避妊・感染症予防のためにも挿入前に必ずコンドームを装着して下さい。

「俺、キツくてゴム入らないんだよね」⇒マグナムサイズ(直径48mm)買ってください。

「俺、ゴムアレルギーなんだよね。」⇒ラテックス(ゴム)フリーの物買ってください。

教訓 その④ 中も外も同リスク。

 

コンドームの達人  https://youtu.be/mHHRgFfGnzA

 

 

⑤ 「授乳中だと排卵も生理もないから大丈夫」説

 産後の方からよく聞きますが、確かに授乳中は母乳を生成して分泌させるホルモンにより、排卵にブレーキがかかっている状態です。しかし、子どもが離乳食の時期に突入したり、普段の授乳の間隔が空いたり、吸わせている時間が5~10分と短時間だとブレーキが甘くなってしまいます。そうした環境により、いつの間にか排卵していた!ということになるのです。

教訓 その⑤ 授乳で気を抜くなかれ、知らずに排卵

 

 

⑥ 「某アプリで安全日・危険日予測をする」説

これで危険日を避ければ大丈夫  と思っていたら、それこそ今日が危険日です。アプリでは、過去の生理開始日から生理周期を平均して予測しているので、排卵日を確実に特定できる訳ではなく、(オギノ式)と言われる排卵日予測も、本来は妊娠を目的として使用されるものであり、避妊方法ではないのです。精子は寿命の長いもので7日も生きていることもあります。また、女性は環境の変化・ストレスなどで容易に排卵日はズレやすくなります。

教訓 その⑥ 毎日が危険日。

 

 

 

 

以上の教訓を踏まえ、正しい避妊方法を身につけようではありませんか!!

避妊方法として、*コンドーム *OC(低用量ピル)*緊急避妊ピル *IUD(子宮内避妊用具)*IUS(子宮内避妊システム)があります。どれか1つだけ行なえばよいという訳ではありません。コンドームは避妊の他に性感染症も防ぐことが出来るの

 で、コンドームにプラスしてもう一つ避妊アイテムを使うとより良いでしょう。

 

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さいごに

「望まない妊娠」とよく言われますが、これはとても胸が痛い言葉です。

確かに自分だけの責任ではないですが、お腹に小さな命が宿っています。

一生懸命に生きています。私たちはその命に終わりを告げ最後を見届けます。

きちんと避妊の対策をしていれば、このような言葉が出てくることもないのでは...。と日々感じてしまいます。

SEXをすることがいけないのではありませんよ!妊娠を考えていない状況下での恋人・夫婦のスキンシップを避妊というベースのもと愛し合って頂きたいのです。

女性とお腹の命に対して医療者である私たちは、幸せに迎えてあげられる環境を一緒に作っていきたいと考えています。

またその中で、家族・友人など周りに相談できず独りで不安や悩んでしまっている方にも、私たちの所へ(病院へ)相談に来て頂きたいのです。

万が一、避妊に失敗し、妊娠の可能性が出てくる場合には、性行為後72時間以内に内服する緊急避妊ピルというものがあります。

ただ、これを常備の避妊方法にすることは出来ませんから、しっかりとコンドーム+アイテムを心がけてください。

☆身を守るのは貴方自身なのです。大事な身体に愛情を持って大切にしましょう☆