<生理痛、辛くありませんか?~月経困難症~>
毎月の生理(月経と言います)に、
「ああ、また来た・・・」
と憂鬱になる方が多いと思います。
憂鬱な原因は
「イライラして周りに当たり散らして後悔する・・・」
「頭痛・生理痛がツライ」
「旅行やイベントにあたっちゃう」
「ナプキンを変えるのがウザイ😡」
といったことなど様々。
そんな憂鬱にもかかわらず
「薬は飲まない方がいいと思って我慢していました」
という患者さんの言葉もよくお聞きします。
しかし今の医療の主流は
「我慢しない」
「痛み始めたら早めに飲む」
です!
今回は、月経開始直前や月経時におこる辛い症状によって、
「学校や仕事に行けない」
「家事が出来ない」
「痛すぎて動けない」逆に「七転八倒」
など、
日常生活を送ることが困難になるほどの“月経困難症”についてお話しようと思います。
*月経困難症とは*
1、症状:月経直前や月経中に起こる、日常生活が困難になる程の強い下腹痛や腰痛・頭痛や嘔吐。月経終了とともに消失します。
2、原因:原因疾患のない「機能性月経困難症」と原因となる疾患が症状を起こす「器質性月経困難症」があります。
月経は増殖した子宮内膜をはがして、月経血と共に子宮の外に排出させることを言います。その月経血の排出をスムーズるために「プロスタグランジン(PG)」という物質が子宮内膜で作られます。このPGがやっかい・・・!!
生理痛が「そんなに気にならない」人は、
適度なPG分泌量なため「時々少し痛いかな?」程度で月経血を排出できます。
「機能性月経困難症」の人は、
原因疾患はないけれどPGが過剰に作られてしまい、子宮収縮が強くなって、月経痛が強くなります。PGが頭痛や嘔吐を起こすこともあります。(強い痛みによるに神経反射の場合もあります。)
「器質性月経困難症」の人は、
原因疾患が子宮収縮を妨げたり、子宮内膜が子宮の外で増殖したりすることで、PGが過剰に作られてしまいます。
子宮内膜症では、子宮の外で増殖した内膜が炎症を起こして、肛門痛や性交痛を起こすことがあります。
3、治療:症状や原因で異なりますが、ここでは内服をご紹介。
①非ステロイド性消炎鎮痛薬(イブプルフェンやボルタレンやロキソニンなど)
→プロスタグランジンの合成阻害効果もあります。
②漢方(芍薬甘草湯や桂枝茯苓丸や桃核承気湯や当帰芍薬散など)
→アレルギーなどで①が使えない時や体質改善に使われます。
③ホルモン剤(ルナベルやヤーズなど)
→子宮内膜の増殖やプロスタグランジンの産生を抑えることで、月経血量を減らしたり、月経痛を軽くします。(子宮内膜症の治療に使われます。)
※その他、症状や診断によって医師から様々な治療法を提案されます。
気軽に婦人科を受診してくださいね。
*子宮内膜症は早期発見が大切!!*
不妊症の原因のひとつに、
子宮内膜症があると言われています。
軽症のうちに診断・治療することで、
不妊症の改善が期待できます。
10代~30代の
「いつか赤ちゃんが欲しくなるかもしれない」人は、
まだパートナーがいなくても、
「忙しいから」「婦人科ってハードル高い」と思わないで、
思い切って婦人科を受診してみてくださいね。
参考・引用文献
前田長正:月経困難症とホルモン療法、産科と婦人科2013、8号、P35-39.