授乳中だから薬は飲めない??
風邪・頭や胃などの身体の痛み・便秘・下痢などなど…日々の育児に追われ、授乳中に体調を崩してしまう事ってありますよね?
症状が軽く、薬を内服せずに過ごせる事もあると思いますが、例えばある朝、寒気と熱があり体調が優れません。
なんだか頭も重ダルイ…「薬を飲みたいなぁ。」と思うほど症状が辛い時、あなたはどのように考えるでしょうか。
《Aさんの場合》
「よし!気合いでなんとかするわ。病は気からって言うじゃない。そうよ!これは気のせいなのよ。薬を飲まず治るまで過ごすわ!頑張れ私(T-T)」
《Bさんの場合》
「薬も飲みたいし、でも授乳が・・・。どちらか選ぶなんて酷すぎるわ(泣)私にはあなた達が必要なのに・・・!でも現実は残酷ね。わかったわ・・・。私は薬を選ぶ!しばらくお別れね。さようならおっぱい・・・」
《Cさんの場合》
「結構辛くなってきたなぁ…。薬飲もう。」
~その後の様子を見てみましょう~
Aさんは体調が辛い中、育児に追われ、家事もこなし・・・気力だけで自分を奮い立たせて頑張ります。
全ては赤ちゃんの為!母強し!と言いたい所ですが、あとどのくらい気力が保てるでしょうか。
さらに悪化してしまうのではないでしょうか?疲労・ストレスなどもある中ですから尚更です。
Bさんは薬を飲む代わりに、授乳をしない・おっぱいをやめる選択をしました。
薬も効き始め体調は楽になり、「さぁ!復活よ☆」と、いつもと変わらない日々を過ごそうとしていた矢先。
これは大変!!授乳を止めていたおっぱいはどんどん溜まります。
そして搾乳などせず体調も悪かったこともあり、乳腺炎を引き起こしやすくなっていたのです。
乳腺炎がさらに悪化した場合、解熱と炎症止めとして薬が処方されることもあります。そして乳腺炎の一番の対処法は赤ちゃんに溜まった母乳を飲んでもらうことが大切です。
さぁ、Bさんは困りました。「薬を飲まなきゃいけないのに、授乳もしなくちゃいけない?私はどうしたらいいのぉ!?」
Cさんは薬を内服し今まで通りに授乳をしました。
薬も効いて体調も次第に戻り始め、Cさんは短期間ですっかり良くなり、いつもと変わらない生活を送り始めました。
このような3名の選択とその後の経過、皆さんはどう思いますか?
専門機関の情報を参考にしましょう
よく、母乳はママの血液から作られているので、薬を内服すると血液中に薬の成分が流れ薬剤の混じった母乳を飲ませてしまい、「赤ちゃんに影響するのでは」と考える方が多いようです。
また、市販薬などにも注意書きとして「授乳中の方は医師に相談」と書かれていることがほとんどなので、尚更不安になってしまいますよね。
実は、国立成育医療研究センターによる「授乳中の薬」についての研究結果では、解熱剤・痛み止め・抗菌薬などの安全性が証明されています。
そして、禁忌な物は抗がん剤や精神疾患で長期使用される薬などの一部だとわかっています。
下記のサイトはこれまでの科学的な情報もとに評価を行い、授乳期でも安全に使用できると考えられる薬の紹介です。
妊娠と薬情報センター:授乳中の薬の影響 | 国立成育医療研究センター
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安全と言われているけど、母乳に薬は混ざらないの??
時々、薬を飲んでから1~2時間空ければ良いのでは?と考える方もいるようですが、薬の種類や1日に飲める回数の違いによって、身体から薬剤が排出される時間は様々です。
そして、確かにママが内服したお薬は血液を通し母乳に移行します。
しかし、その量は非常に少ない量であり、限られた薬(禁忌とされている薬)以外は、赤ちゃんへ影響を及ぼす程の量ではないのです。
最後に・・・
どうしても育児中は、自分のことを後回しにしてしまい、体調が悪いときでも赤ちゃんのことを第一に考えているからこそ、我慢をしてしまいますよね?ママだって辛いときは辛いんです。
また、産婦人科以外の医師の中には、授乳中の方に使用できる薬に対して、あまり詳しくない場合もある為、処方できなかったり、「産婦人科の医師に確認して下さい。」と言われてしまうケースもあります。
その際は使用できる薬剤の表を活用して頂いたり、下記の授乳中の薬についての専用電話相談窓口を活用してみて下さい.ね。.
飲める薬もあるのです。授乳を止めなくても大丈夫な薬もあるのです!
早く症状が落ち着いて、笑顔のママでいられる応援をさせて下さい。
戌の日ってなぁに?
新年あけましておめでとうございます
今年は「戌年」ですね。戌と言えば産婦人科では「戌の日」です。
ここで「戌の日」についてお話したいと思います。
日本には十二支、干支によって日付を表す方法があり、その中に「戌の日」があります。12日に1日の割合でやってきますので、月に2~3回は「戌の日」が来ることになりますね。
「戌の日」といえば、産婦人科では、着帯の儀式が浮かびます。
妊娠5カ月最初の戌の日にお腹に腹帯(岩田帯)を巻いて、安産祈願する風習のことです。
これは日本独自の人生儀礼で「帯祝い」ともいわれ、無事に赤ちゃんが生まれてきて欲しいという願いがあります。
ではいつからこのような風習がはじまったのでしょうか。
*腹帯をお腹に巻く由来
この風習の始まりは古く「古事記」が起源である説が有力だそうです。
古事記によると
仲哀天皇(14代)天皇の皇后、神功様が妊娠中に三韓(現代の韓国)を討伐に行ったとき身ごもっていたお腹を守るために、帯の中に石を挟みいれてお腹に巻きつけていた。その後無事に帰国して、出産することが出来た。
と書かれています。これが言い伝えられこの時に巻いた帯が、後の腹帯(岩田帯)になったといわれています。最近では、岩のように頑丈な体で健康な赤ちゃんが生まれるようにとの願いがこもっているという話が一般的のようです。・・・なるほど!丈夫な子供が産まれそうな由来ですね。
*なぜ「戌の日」に安産祈願なのでしょうか?
他の動物に比べて犬はお産が軽く、一度にたくさんの子供を産むことにあやかり、日本では安産の守り神として崇めてきました。また、一説によると犬は悪霊を追い払い,狐狸などからも子供を守る話もあります。お宮参りの際に犬をかたどった「犬張り子」が用いられるのも、魔よけの一種で子供のお守りになっていることもあり「戌の日」になっているようです。また、「戌の日」でなくても同じような由来があるのが、「鼠の日」です。
確かに鼠もたくさん産みますね。妊娠5カ月の戌の日に都合がつかなかったら、「鼠の日」に祈願してもらうのもご利益がありそうですね。
*安産祈願が妊娠5カ月なのは?
妊娠5カ月は、胎盤がしっかり形成される時期でいわゆる安定期です。流産せず無事に5カ月を迎えられた事を祝い、その後も出産まで何事もなく迎えてほしいという事で妊娠5カ月になっているようです。地域によっては、妊娠3カ月や7カ月のところもあるようですよ。
昔は、妊娠しても途中で流産してしまったり、お産で命をおとしたりする方が多く、子供を大切に思う昔の人の願を感じませんか。
*安産祈願でいただいたさらし布のその後のどうする?
今は、さらし布は実用的でないと、ガードルタイプや腹巻タイプが主流になっています。
安産祈願というよりは、腰痛予防・保温・お腹の保護が目的です。安産祈願でいただいたさらし布は、赤ちゃんの物にリサイクルできます。祈祷している布なので赤ちゃんを悪霊から守ってくれるお守りになりそうですね。
今では、様々な実用的なものが多く、実際にさらしを使用する方は少ないです。でも、このような思いの詰まった「人生儀礼」は、素敵だと思います。皆さんも、戌の日に安産祈願で腹帯を巻いて、1日過ごしてみてはいかがですか?
*産婦人科外来では、腹帯(岩田帯)の巻き方をお教えする「着帯指導」があります。
戌の日に巻くことができますので、巻き方の分からない方はご相談ください。
2018年戌の日カレンダー
2018年戌の日カレンダー |
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1月 |
6日(土)赤口 |
18日(木)先勝 |
30日(火)先勝 |
2月 |
11(日)先勝 |
23日(金)友引 |
|
3月 |
7日(水)友引 |
19日(月)仏滅 |
31日(土)仏滅 |
4月 |
12日(木)仏滅 |
24日(火)大安 |
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5月 |
6日(日)大安 |
18日(金)先勝 |
30日(水)先勝 |
6月 |
11日(月)先勝 |
23日(土)友引 |
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7月 |
5日(木)友引 |
17日(火)仏滅 |
29日(日)仏滅 |
8月 |
10日(金)仏滅 |
22日(水)赤口 |
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9月 |
3日(月)赤口 |
15日(土)先勝 |
27日(木)先勝 |
10月 |
9日(火)先負 |
21日(日)先負 |
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11月 |
2日(金)先負 |
14日(水)仏滅 |
26(月)仏滅 |
12月 |
8日(土)赤口 |
20日(木)赤口 |
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戌の日の由来:引用文献はこちら
性と生殖に関する健康と権利 ~妊娠編2~
前回は女性がライフプランを立てること、実現することの大切さをお話しました。
皆さん、自分を主役にライフプランを立ててみましたか?生殖適齢期の方は、行動に移せそうですか?
今回は「妊娠までにしておきたい心と体とお金の準備」についてご紹介したいと思います。
1、まず体の準備。
①無月経や月経不順はありませんか?
→卵巣機能不全が考えられます。ストレスや体重減少などの原因は無いか等の問診や、エコー・採血で分かります。
②生理痛はひどくないですか?
→子宮内膜症や子宮筋腫などの可能性があります。それらは不妊症の原因にもなります。早めの治療が大切です。(生理痛に関しての過去記事↓)
③望んだ時期に妊活ができるように、バースコントロール(避妊等)をしていますか?
→産むか産まないかは女性の権利。とはいっても、人工妊娠中絶は女性を心身ともに傷つけます。たとえその時は自分で中絶を選んだとしても、また体は回復したとしても、心の傷痕は数年経ってからもジクジク痛むことがあるかもしれません。
「避妊は男性任せにせず、自分に合った避妊方法を実行」
④望んだ時期に妊活ができるように、性感染症予防をしていますか?
→性感染症(クラミジアなど)は不妊の原因になります。HIVなどは妊娠中から赤ちゃんに感染してしまうこともあります。全ての性感染症は予防できないとしても、重大な感染症はコンドームを正しく装着することで予防できます。
性感染症を予防は「自分でしっかりと」
(コンドームの正しい着け方は↓)
⑤婦人科検診を受けていますか?
→20~30代という若い年齢でもかかりやすい子宮頸がん。ほとんどが性交渉により感染する「ヒトパピローマウィルス(HPV)」が原因です。子宮がん検診を受けましょう。
“私はヴァージンだから大丈夫”・“得に自覚症状ないしなぁ”と言う方も子宮筋腫や卵巣のう腫、子宮内膜症など、不妊に関係する病気が隠れているかもしれません。今は〝ブライダル検診“なるものが流行っていますが、プロポーズされてから病気が見つかって治療となると、タイムロスが生じます。
婦人科受診はハードルが高いですよね。でも、実は産婦人科って一生のお付き合いをする診療科なんです。近所の評判や口コミを参考にしたり、実際に問い合わせをして今のうちから「信頼できるかかりつけの産婦人科」を見つけておいて下さいね。
⑥赤ちゃんのために禁煙は出来そうですか?
→昔に比べて日本でも禁煙・分煙化は進んできています。が、他の先進国と比べるとまだまだな状況です。医学界では癌や脳や心臓の致死率の高い病気の原因のひとつに喫煙を上げています。妊娠中の能動喫煙・受動喫煙は母児に悪影響を及ぼします。
「禁煙しましょう」と私たちが口でお伝えするのは簡単ですが、依存性の高い物質を一定期間吸っているスモーカーにとっては、「気合いで禁煙」というのはとても難しい事です。〝赤ちゃんができたらやめる”・〝妊活始める時に止める″は〝明日から甘いものをやめる″のダイエッターと同じ位大変なことです。(ダイエット失敗者談)禁煙は始めるのが早いほど成功しやすいです。
でも、もう気合いではどうにもならない本数をどうにもならない年数吸っている方には、吸いながらでも徐々にやめられる薬もあります。
家族やパートナーと一緒に「禁煙外来」へ。
2.そして、お金の準備。
将来に向けて、貯蓄はしていますか?
妊娠にかかる費用は、ほとんどが「自費診療」!!
「妊娠は病気じゃない」とよく聞きますが、早産・妊娠高血圧症候群・子宮内胎児発育不全・・・妊婦健診で突然入院や他院への母体搬送を言い渡されることは少なくありません。場合によってはそのまま予期せず緊急の出産を余儀なくされることも。治療が必要な場合は健康保険の適応(自費の3割負担など)となりますが、生まれたばかりの赤ちゃんには健康保険証がありません。
戸籍ができて、「子ども医療費助成制度(自治体によって名称や助成方法が異なります)」や健康保険証が届くまでは、月末毎に全額自己負担分の医療費の請求書が届くことになります。
出産育児一時金は、現在は「出産育児一時金直接支払制度(自分で大金を用意しなくて済む制度)」として、自分のもとに届く前に健康保険組合から分娩施設に支払われます。
親戚や知人からのお祝い金は一時的には助かれるかもしれませんが「内祝い」を返すことがマナーになっています。
実際人工妊娠中絶を決断する方の理由には「経済的に無理」という方も少なくありません。赤ちゃんが無事生まれた後には、「約20年×子の数」の養育費がかかります。
現代の日本、お金はあって困ることはありません。
なんだか、オカンみたいなおせっかい話をグダグダ書いてしまいましたが・・・。
仕事や趣味の目標は、第2第3の人生として、やる気しだいでいつでもかなえることができます。
だけど、「妊娠」に関してはタイムリミットがあるのが現状です。
「備えあれば憂いなし」だという事だけ憶えていて頂けたら、産婦人科スタッフとしてはありがたいです。
お金以外のご相談はぜひ産婦人科外来へ。
性と生殖に関する健康と権利 ~妊娠編1~
あなたの将来の夢は何ですか?何でしたか?
“こんな仕事につきたいな”“お嫁さんになってママになる”など・・・夢は大きく膨らんでいませんでしたか?
では、実際の自分は今どうしていますか?
夢をかなえた人、まったく違う道だけど、満足のいく人生を送っている人・・・様々だと思います。
中には“子どもはいつか欲しいけど、今は任されたプロジェクトを優先したい。”
という「キャリアウーマン」の方もいらっしゃるでしょう。
だけど、“職場が人手不足だから妊娠すると迷惑かけちゃう”と、自分のことを二の次にしてしまうのは、婦人科的には「ダメ・ウーマン」。
生殖医療の技術も日進月歩して、昔よりも高齢出産が可能になっています。
ですが、私たちの卵子と精子は進化していないため、幸せな出産までには、時に悲しい体験や莫大な費用が付きまとうのが現状です。
先日女性の「性と生殖に関する健康と権利(Sexual Reproductive Health/Rights)」についてご紹介しました。
(詳しくはこちら↓)
そこで今回は、「妊娠に関する健康と権利」について、2回に分けてご紹介しようと思います。
1、妊娠豆知識
卵子が年々老化すると言うのはよく言われていることです。
それはどうしてかと言うと、「卵子年齢=自分年齢」だからです。
卵子(原子卵胞)とはあなたが胎児だったころからのお付き合い。
体内の卵子も自分と同じ年齢を重ねていきます。
高齢妊娠のリスクに染色体異常児の出産や染色体異常による流早産があるのは、多く知られるようになって来ましたが、その上、卵子は胎児の頃からどんどん減少していくことをみなさんご存知でしたか?
「卵子は胎生20週(=母体の妊娠20週)で約700万個にまで急増して、出生時には200万個まで減少。思春期には20万個まで減少。そこから排卵が始まり徐々に使われていき、閉経時(50歳ごろ)は0に近づく」
卵巣機能も徐々に低下していき、着床・妊娠継続能力が下がります。
一方精子は「精母細胞」という精子の元を胎児の頃から持っていますが、「精子」と呼ばれるものが作られ始めるのは思春期になってから。
卵子と違い“0”になることはなく毎日作られ、1回の射精で約2億匹が外に出ますが、すぐに次の精子がスタンバイします。
(男性著名人が60代や80代でパパになっていることは皆さんもご存知だと思います)
と、まとめている時に、見つかりづらい男性不妊に関する新しいニュースが入ってきました!!
女性だけでなく男性も、「子どもが欲しいか、何人欲しいか」を意識して、主体的に計画を立てておく必要があります。
2、ライフスタイルに左右されるライフプラン
そうは言ってもいざ仕事が楽しくなる20台後半からは、今まで描いていたライフプランよりも日々のライフサイクルが優先されることが現状です。
毎月の勤務シフト、任される仕事などなど・・・。
※これはあくまで一例です。
「働き方改革(ワークライフバランス)」で経営者が福利厚生を改善しても、各職場での暗黙のルールや考え方は簡単には変わらず、実際制度を利用するのをためらってしまうのが現状かもしれませんね。
もちろんパートナーのライフスタイルにも左右されます。
ですが、前述したとおり“妊娠にはタイムリミットがある”。
「“いつか恩返しはできる”、自分を優先する勇気」と「パートナーとのすり合わせ」を忘れずに、自分のライフプランを第一に行動して下さいね。
今回は「心の準備]まで。
まだまだいろいろお伝えしたいことがあるので、「性と生殖に関する権利 妊娠編2」も見に来てくださいね。
更年期症状
季節が変わり、寒い日が続くと何となく気分が上がりませんね。
特に女性は閉経前後の年齢になると肩こりや冷え、めまいや不安など、様々な症状に悩まされることがあります。
今回はそんな更年期症状について考えていきたいと思います。
更年期症状といってもその表れ方は人それぞれで、特に気にならずに通り過ぎる人もいれば、様々なつらい思いをする人もいます。よく聞かれる症状は、肩こり、疲れやすい、頭痛やのぼせ、発汗、皮膚の乾燥などです。また、気分が沈む、イライラ、怒りっぽい、憂うつなど精神的な症状もあります。
これらはエストロゲンという女性ホルモンの分泌が減少することにより起こることですが、ちょうど子供の自立や親の介護など、日常生活の変化や様々やストレスが重なっていることも要因になっているようです。また、もともとの気質や物事のとらえ方なども影響するようです。
すごいぞ エストロゲン!
なぜエストロゲンが減少するとこのような症状が出るのでしょうか。
エストロゲンは、妊娠や出産に関わるだけでなく、自律神経や骨の生成、皮膚や血管にもよい影響を与えるなど、400以上の機能を備えているホルモンだからです。
エストロゲンが減少すると・・・
これまで抑えられていたコレステロール値が、閉経により急に上昇し、悪玉コレステロールが血管に付着、血管は固くなり動脈硬化に。
骨を作る骨芽細胞と骨を破壊する破骨細胞、破骨細胞の働きを抑制するものがなくなり骨の破壊に生産が追い付かす骨量が減少。
脳内物質のセロトニンを活発にする効果が薄れ、気分が落ち込みやすく感情がうまくコントロールできない。
などなど、エストロゲンの減少による影響は多々ありますね。エストロゲンの働きのすごさに脱帽!です。
元気に過ごすために!
年齢を重ねるとともに誰でも起こりうる変化 ホルモンのせいばかりにせず、上手に乗り越えたいですね。
そのためには 食事 運動 リラックス を心がけましょう。
食事 肥満を防止するために腹8分目 バランスよく摂取しましょう
大豆食品・ザクロ・山芋などはエストロゲンを増やしてくれます
カルシウムは骨を丈夫にしてくれるので積極的に摂取しましょう
魚や野菜は飽和脂肪酸が多く含まれているのでたくさん摂りたいですね
食物繊維はコレステロールを吸着して体外に排出、糖質の吸収を抑え便秘の
解消にもなります。
運動 ストレッチ運動で体を柔軟に、肩こりも解消
1日20~30分のウォーキング 胸を張って歩幅を大きく
日光にあたることも大切
リラックス アロマやヨガ ツボ押しなどで気持ちをゆったり
趣味やスポーツなど自分が好きなことをする
規則正しい生活で睡眠をしっかりとることも大切です。
つらいときは一人で考え込まず、誰かに話しができるといいですね
ボランティアや趣味など生きがいを見つけることもいいでしょう
主な治療法として
ホルモン補充療法は、減少したホルモンを薬で補う方法で、飲み薬だけでなく、
貼り薬やジェル剤で肌にすり込む形のものもあります。
漢方薬は体全体の調子を整えることを目的とします。
また、気分の落ち込みや不安が強いときは安定剤が処方されることもあります。
医師とよく相談しながら、その人その人にあった、一番よい方法や量をみつけて
使っていきたいですね。
また、すべての方がホルモン補充療法を受けられるわけではありませんので、
医師に体の状態を伝えてよく相談しましょう。
いずれにしても、何かすっきりしない、調子が悪い などの場合は婦人科外来に相談してみましょう。
検査をしたり、薬による治療、整形外科やカウンセリングへの紹介もできるかもしれません。
また、いろいろな疾患がおこりやすい年代でもあります。
定期検診はぜひうけてくださいね。
ビックリ都市伝説 やってない??この避妊法
皆さんは避妊方法をどのようにしているでしょうか?コンドームですか?OC(低用量ピル)ですか?病院の避妊指導の中では、コンドームを選択している方が多い印象で、中にはOC(低用量ピル)など併用している方もいるようです。避妊指導をする際、本人が避妊だと思っていたことが、実は正しい避妊方法ではなかったりすることがありました。そこで色々調べてみると、思わずこちらもビックリしてしまう都市伝説内容だったりと、再度声をあげてお伝えしたい!!と思い書かせて頂きました。
皆さんの中に、「これ実践してる!」と当てはまる方は「ちょっと待ったぁぁぁあ!!」
挿入しないで&挿入させないで下さい。
① 「某炭酸飲料で洗えば大丈夫」説
炭酸飲料でどのように洗うのか、炭酸痛くないんでしょうかね。某炭酸飲料による酸性の成分に精子の殺傷能力があると信じられているようですが、医学的根拠はありません。むしろ、膣内を傷つけたり、有益な菌も洗い流してしまい感染のリスクが上がるとも言われています。
酸性ということで梅干しという説もあるようですが、、、危険です。やめて下さい。
教訓 その① 某炭酸飲料も梅干しも膣ではなく口に入れるべし
② 「愛していなければ妊娠しない」説
...。 気持ちだけじゃどうにもならんのじゃー!!
(はい、もう一度!!)
教訓 その② 気持ちだけじゃどうにもならんのじゃー!!
③ 「ジャンプすれば精子が出てくる」説
「やばい!中に出しちゃった。」「大丈夫☆一緒に1,2,3,ジャンプ!!」
残念ながら、全ての精子は出てきません。また、ジャンプしている間に早い精子は子宮内へ入り込み卵子を求めてひたすら進んでます。
教訓 その③ ジャンプの労力を避妊への学びに費やすべし
④ 「外出しだから大丈夫」説
「外へ射精できました。」「それは良かったです。」という事には断じてなりません。射精時の一番初めが最も精子の濃度が濃いとされています。そして、射精時の精子は時速約48.2キロのスピードで飛び出してくるのです。これは陸上で有名なU.B選手が100m世界新記録を打ち立てた時の最高速度を上回る速さと言われています。(「脳の指令は新幹線より速い」サイモン・ロジャース著 より)
それでは女性の方、想像してみて下さい。密着するほど近距離にU.B選手が立っています。そこからスタートのピストル合図など、なんの前触れもなくフライング突進して来た時に、サッと身を避けることができるでしょうか。
避妊・感染症予防のためにも挿入前に必ずコンドームを装着して下さい。
「俺、キツくてゴム入らないんだよね」⇒マグナムサイズ(直径48mm)買ってください。
「俺、ゴムアレルギーなんだよね。」⇒ラテックス(ゴム)フリーの物買ってください。
教訓 その④ 中も外も同リスク。
コンドームの達人 https://youtu.be/mHHRgFfGnzA
⑤ 「授乳中だと排卵も生理もないから大丈夫」説
産後の方からよく聞きますが、確かに授乳中は母乳を生成して分泌させるホルモンにより、排卵にブレーキがかかっている状態です。しかし、子どもが離乳食の時期に突入したり、普段の授乳の間隔が空いたり、吸わせている時間が5~10分と短時間だとブレーキが甘くなってしまいます。そうした環境により、いつの間にか排卵していた!ということになるのです。
教訓 その⑤ 授乳で気を抜くなかれ、知らずに排卵。
⑥ 「某アプリで安全日・危険日予測をする」説
これで危険日を避ければ大丈夫 と思っていたら、それこそ今日が危険日です。アプリでは、過去の生理開始日から生理周期を平均して予測しているので、排卵日を確実に特定できる訳ではなく、(オギノ式)と言われる排卵日予測も、本来は妊娠を目的として使用されるものであり、避妊方法ではないのです。精子は寿命の長いもので7日も生きていることもあります。また、女性は環境の変化・ストレスなどで容易に排卵日はズレやすくなります。
教訓 その⑥ 毎日が危険日。
以上の教訓を踏まえ、正しい避妊方法を身につけようではありませんか!!
避妊方法として、*コンドーム *OC(低用量ピル)*緊急避妊ピル *IUD(子宮内避妊用具)*IUS(子宮内避妊システム)があります。どれか1つだけ行なえばよいという訳ではありません。コンドームは避妊の他に性感染症も防ぐことが出来るの
で、コンドームにプラスしてもう一つ避妊アイテムを使うとより良いでしょう。
さいごに
「望まない妊娠」とよく言われますが、これはとても胸が痛い言葉です。
確かに自分だけの責任ではないですが、お腹に小さな命が宿っています。
一生懸命に生きています。私たちはその命に終わりを告げ最後を見届けます。
きちんと避妊の対策をしていれば、このような言葉が出てくることもないのでは...。と日々感じてしまいます。
SEXをすることがいけないのではありませんよ!妊娠を考えていない状況下での恋人・夫婦のスキンシップを避妊というベースのもと愛し合って頂きたいのです。
女性とお腹の命に対して医療者である私たちは、幸せに迎えてあげられる環境を一緒に作っていきたいと考えています。
またその中で、家族・友人など周りに相談できず独りで不安や悩んでしまっている方にも、私たちの所へ(病院へ)相談に来て頂きたいのです。
万が一、避妊に失敗し、妊娠の可能性が出てくる場合には、性行為後72時間以内に内服する緊急避妊ピルというものがあります。
ただ、これを常備の避妊方法にすることは出来ませんから、しっかりとコンドーム+アイテムを心がけてください。
☆身を守るのは貴方自身なのです。大事な身体に愛情を持って大切にしましょう☆
母乳と食事の都市伝説
食欲の秋ですね。
旬なものを美味しく食べたい!でも母乳育児しているから...何でもかんでも食べて乳腺炎にならないか心配。というママもいるのではないでしょうか。
乳腺炎になる食事はあるのか?
母乳外来で「脂っこい食事やケーキを食べたから乳腺炎になったのでしょうか」「食事で気を付けた方が良いものはありますか」と質問を受けることがよくあります。
母乳がドロドロになって詰まる、食事量や内容で母乳の成分や量が変わる、という印象があるようです。
結論から言うと
特定の食事(脂っこい食事やケーキ等)=乳腺炎
というのは都市伝説!!医学的根拠はありません。
母乳の構成成分
母乳の88%は水分です。他には、炭水化物、脂肪、たんぱく質の順に多く含まれます。
中でも気になる脂肪ですが...母乳中に3.5%
ママの食事によって脂肪の構成成分は変化しますが、母乳中の脂肪の量は変わらないことがわかっています。ですので、脂肪分をとりすぎたからと言って母乳がドロドロになることやその為に乳腺が詰まることはありません。
母乳は血液から造られていることをご存知ですか?血液は乳管より細い毛細血管を通ってきています。食事が原因で血液がドロドロになったら乳管より先に毛細血管が詰まってしまうことになりますよね。
授乳期(30歳)の食事摂取基準は2100~2650kcalですが、栄養状態の良いママが1日の食事摂取量を1500kcalに減らしても母乳の量は変わらないといわれています。逆に、それ以上に減らしてしまうと、今度はママの健康に影響が出る可能性があるのです。
乳腺炎を気にして食事制限をする必要はなく、バランスの良い食事が1番です。
乳腺炎の原因
では“なぜ乳腺炎になってしまうのか”ですが、作られたおっぱいを赤ちゃんがうまく飲みとれていないことが主な原因です。具体的に上げると、
- 赤ちゃんが乳首をうまく吸えない
- いつもと授乳の姿勢や赤ちゃんのポジションが違った
- 離乳食が進んできて、母乳回数が減った。
など、こういったことにより
作られた母乳>飲みとる量
のバランスになった時に母乳が溜まり、乳腺炎をひきおこす原因になります。他には、ママの疲れやストレス、下着や抱っこひもなどによる締め付けや圧迫などが原因といわれています。
乳腺炎かなと思ったら
乳腺炎になってしまった時には、赤ちゃんに飲みとってもらうのが1番。赤ちゃんがおっぱいを深く吸えているか、授乳の姿勢は大丈夫かを確認して頻回に吸ってもらいましょう。疲れがたまっていたら、周りの力を借りながら休息をとることも大切です。
赤ちゃんが飲みとるのが難しかったり、頻回に吸わせても改善しない場合には母乳外来の受診をお勧めします。
当院の母乳外来については↓こちらをご覧ください。
産婦人科|診療科のご案内|患者さま・ご来院の方へ|船橋二和病院
お問い合わせ・ご意見等ある方は toiawase@futawa-hp.jp まで。
参考文献●水野克己、水野紀子:母乳育児支援講座、南山堂、2011年