ふたわ✿産婦人科

千葉県船橋市にある病院の産婦人科。産婦人科医・看護師・助産師によるブログ。現在、分娩休止中ですが再開予定のため、医療・保健活動は継続しています。このブログでは、産婦人科にまつわることなら病気のことだけでなく、他人には聞きづらいこと、ちょっとした疑問にお答えしていきます。個人的な質問にはお答えできません。

性と生殖に関する健康と権利  ~妊娠編1~

 

                   

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 あなたの将来の夢は何ですか?何でしたか?

“こんな仕事につきたいな”“お嫁さんになってママになる”など・・・夢は大きく膨らんでいませんでしたか?

 では、実際の自分は今どうしていますか?

 夢をかなえた人、まったく違う道だけど、満足のいく人生を送っている人・・・様々だと思います。

 中には“子どもはいつか欲しいけど、今は任されたプロジェクトを優先したい。”

という「キャリアウーマン」の方もいらっしゃるでしょう。

だけど、“職場が人手不足だから妊娠すると迷惑かけちゃう”と、自分のことを二の次にしてしまうのは、婦人科的には「ダメ・ウーマン」。

 

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   生殖医療の技術も日進月歩して、昔よりも高齢出産が可能になっています。

ですが、私たちの卵子精子は進化していないため、幸せな出産までには、時に悲しい体験や莫大な費用が付きまとうのが現状です。

 

 先日女性の「性と生殖に関する健康と権利(Sexual Reproductive Health/Rights)についてご紹介しました。

(詳しくはこちら↓)

hutawa-ohana.hatenablog.com

 

  そこで今回は、「妊娠に関する健康と権利」について、2回に分けてご紹介しようと思います。

  

1、妊娠豆知識

 卵子が年々老化すると言うのはよく言われていることです。

それはどうしてかと言うと、「卵子年齢=自分年齢」だからです。

 卵子(原子卵胞)とはあなたが胎児だったころからのお付き合い。

体内の卵子も自分と同じ年齢を重ねていきます。

高齢妊娠のリスクに染色体異常児の出産や染色体異常による流早産があるのは、多く知られるようになって来ましたが、その上、卵子は胎児の頃からどんどん減少していくことをみなさんご存知でしたか?

 「卵子は胎生20週(=母体の妊娠20週)で約700万個にまで急増して、出生時には200万個まで減少。思春期には20万個まで減少。そこから排卵が始まり徐々に使われていき、閉経時(50歳ごろ)は0に近づく」

 卵巣機能も徐々に低下していき、着床・妊娠継続能力が下がります。

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  一方精子は「精母細胞」という精子の元を胎児の頃から持っていますが、「精子」と呼ばれるものが作られ始めるのは思春期になってから。

卵子と違い“0”になることはなく毎日作られ、1回の射精で約2億匹が外に出ますが、すぐに次の精子がスタンバイします。

(男性著名人が60代や80代でパパになっていることは皆さんもご存知だと思います)

と、まとめている時に、見つかりづらい男性不妊に関する新しいニュースが入ってきました!!

www3.nhk.or.jp

女性だけでなく男性も、「子どもが欲しいか、何人欲しいか」を意識して、主体的に計画を立てておく必要があります。

 

 

2、ライフスタイルに左右されるライフプラン

 そうは言ってもいざ仕事が楽しくなる20台後半からは、今まで描いていたライフプランよりも日々のライフサイクルが優先されることが現状です。

毎月の勤務シフト、任される仕事などなど・・・。

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※これはあくまで一例です。

  「働き方改革(ワークライフバランス)」で経営者が福利厚生を改善しても、各職場での暗黙のルールや考え方は簡単には変わらず、実際制度を利用するのをためらってしまうのが現状かもしれませんね。

もちろんパートナーのライフスタイルにも左右されます。

ですが、前述したとおり“妊娠にはタイムリミットがある”。

 「“いつか恩返しはできる”、自分を優先する勇気」と「パートナーとのすり合わせ」を忘れずに、自分のライフプランを第一に行動して下さいね。

 

   今回は「心の準備]まで。

   まだまだいろいろお伝えしたいことがあるので、「性と生殖に関する権利 妊娠編2」も見に来てくださいね。

更年期症状

 

季節が変わり、寒い日が続くと何となく気分が上がりませんね。

特に女性は閉経前後の年齢になると肩こりや冷え、めまいや不安など、様々な症状に悩まされることがあります。

今回はそんな更年期症状について考えていきたいと思います。

更年期症状といってもその表れ方は人それぞれで、特に気にならずに通り過ぎる人もいれば、様々なつらい思いをする人もいます。よく聞かれる症状は、肩こり、疲れやすい、頭痛やのぼせ、発汗、皮膚の乾燥などです。また、気分が沈む、イライラ、怒りっぽい、憂うつなど精神的な症状もあります。

これらはエストロゲンという女性ホルモンの分泌が減少することにより起こることですが、ちょうど子供の自立や親の介護など、日常生活の変化や様々やストレスが重なっていることも要因になっているようです。また、もともとの気質や物事のとらえ方なども影響するようです。

すごいぞ エストロゲン

なぜエストロゲンが減少するとこのような症状が出るのでしょうか。

エストロゲンは、妊娠や出産に関わるだけでなく、自律神経や骨の生成、皮膚や血管にもよい影響を与えるなど、400以上の機能を備えているホルモンだからです。

 エストロゲンが減少すると・・・

これまで抑えられていたコレステロール値が、閉経により急に上昇し、悪玉コレステロールが血管に付着、血管は固くなり動脈硬化に。

骨を作る骨芽細胞と骨を破壊する破骨細胞破骨細胞の働きを抑制するものがなくなり骨の破壊に生産が追い付かす骨量が減少。

脳内物質のセロトニンを活発にする効果が薄れ、気分が落ち込みやすく感情がうまくコントロールできない。

  などなど、エストロゲンの減少による影響は多々ありますね。エストロゲンの働きのすごさに脱帽!です。

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元気に過ごすために!

年齢を重ねるとともに誰でも起こりうる変化 ホルモンのせいばかりにせず、上手に乗り越えたいですね。

 

そのためには 食事 運動 リラックス を心がけましょう。

食事 肥満を防止するために腹8分目 バランスよく摂取しましょう  

                                  f:id:hutawa-ohana:20171204112113p:plain   大豆食品・ザクロ・山芋などはエストロゲンを増やしてくれます

   カルシウムは骨を丈夫にしてくれるので積極的に摂取しましょう

   魚や野菜飽和脂肪酸が多く含まれているのでたくさん摂りたいですね

   食物繊維コレステロールを吸着して体外に排出、糖質の吸収を抑え便秘の

       解消にもなります。

運動 ストレッチ運動で体を柔軟に、肩こりも解消

   1日20~30分のウォーキング 胸を張って歩幅を大きく 

   日光にあたることも大切

リラックス アロマやヨガ ツボ押しなどで気持ちをゆったり

      趣味やスポーツなど自分が好きなことをする

  規則正しい生活で睡眠をしっかりとることも大切です。

  つらいときは一人で考え込まず、誰かに話しができるといいですね

  ボランティアや趣味など生きがいを見つけることもいいでしょう

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 主な治療法として

ホルモン補充療法は、減少したホルモンを薬で補う方法で、飲み薬だけでなく、

貼り薬やジェル剤で肌にすり込む形のものもあります。

漢方薬は体全体の調子を整えることを目的とします。

また、気分の落ち込みや不安が強いときは安定剤が処方されることもあります。

医師とよく相談しながら、その人その人にあった、一番よい方法や量をみつけて

使っていきたいですね。

また、すべての方がホルモン補充療法を受けられるわけではありませんので、

医師に体の状態を伝えてよく相談しましょう。

いずれにしても、何かすっきりしない、調子が悪い などの場合は婦人科外来に相談してみましょう。

検査をしたり、薬による治療、整形外科やカウンセリングへの紹介もできるかもしれません。

また、いろいろな疾患がおこりやすい年代でもあります。

定期検診はぜひうけてくださいね。

ビックリ都市伝説     やってない??この避妊法

皆さんは避妊方法をどのようにしているでしょうか?コンドームですか?OC(低用量ピル)ですか?病院の避妊指導の中では、コンドームを選択している方が多い印象で、中にはOC(低用量ピル)など併用している方もいるようです。避妊指導をする際、本人が避妊だと思っていたことが、実は正しい避妊方法ではなかったりすることがありました。そこで色々調べてみると、思わずこちらもビックリしてしまう都市伝説内容だったりと、再度声をあげてお伝えしたい!!と思い書かせて頂きました。

 皆さんの中に、「これ実践してる!」と当てはまる方は「ちょっと待ったぁぁぁあ!!」

挿入しないで&挿入させないで下さい。

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① 「某炭酸飲料で洗えば大丈夫」説

 炭酸飲料でどのように洗うのか、炭酸痛くないんでしょうかね。某炭酸飲料による酸性の成分に精子の殺傷能力があると信じられているようですが、医学的根拠はありません。むしろ、膣内を傷つけたり、有益な菌も洗い流してしまい感染のリスクが上がるとも言われています。

酸性ということで梅干しという説もあるようですが、、、危険です。やめて下さい。

教訓 その① 某炭酸飲料も梅干しも膣ではなく口に入れるべし

 

 

② 「愛していなければ妊娠しない」説

  ...。 気持ちだけじゃどうにもならんのじゃー!!  

(はい、もう一度!!)

 教訓 その② 気持ちだけじゃどうにもならんのじゃー!!

 

 

③ 「ジャンプすれば精子が出てくる」説

 「やばい!中に出しちゃった。」「大丈夫☆一緒に1,2,3,ジャンプ!!」

残念ながら、全ての精子は出てきません。また、ジャンプしている間に早い精子は子宮内へ入り込み卵子を求めてひたすら進んでます。

教訓 その③ ジャンプの労力を避妊への学びに費やすべし

 

 

④ 「外出しだから大丈夫」説

 「外へ射精できました。」「それは良かったです。」という事には断じてなりません。射精時の一番初めが最も精子の濃度が濃いとされています。そして、射精時の精子は時速約48.2キロのスピードで飛び出してくるのです。これは陸上で有名なU.B選手が100m世界新記録を打ち立てた時の最高速度を上回る速さと言われています。(「脳の指令は新幹線より速い」サイモン・ロジャース著 より)

それでは女性の方、想像してみて下さい。密着するほど近距離にU.B選手が立っています。そこからスタートのピストル合図など、なんの前触れもなくフライング突進して来た時に、サッと身を避けることができるでしょうか。

避妊・感染症予防のためにも挿入前に必ずコンドームを装着して下さい。

「俺、キツくてゴム入らないんだよね」⇒マグナムサイズ(直径48mm)買ってください。

「俺、ゴムアレルギーなんだよね。」⇒ラテックス(ゴム)フリーの物買ってください。

教訓 その④ 中も外も同リスク。

 

コンドームの達人  https://youtu.be/mHHRgFfGnzA

 

 

⑤ 「授乳中だと排卵も生理もないから大丈夫」説

 産後の方からよく聞きますが、確かに授乳中は母乳を生成して分泌させるホルモンにより、排卵にブレーキがかかっている状態です。しかし、子どもが離乳食の時期に突入したり、普段の授乳の間隔が空いたり、吸わせている時間が5~10分と短時間だとブレーキが甘くなってしまいます。そうした環境により、いつの間にか排卵していた!ということになるのです。

教訓 その⑤ 授乳で気を抜くなかれ、知らずに排卵

 

 

⑥ 「某アプリで安全日・危険日予測をする」説

これで危険日を避ければ大丈夫  と思っていたら、それこそ今日が危険日です。アプリでは、過去の生理開始日から生理周期を平均して予測しているので、排卵日を確実に特定できる訳ではなく、(オギノ式)と言われる排卵日予測も、本来は妊娠を目的として使用されるものであり、避妊方法ではないのです。精子は寿命の長いもので7日も生きていることもあります。また、女性は環境の変化・ストレスなどで容易に排卵日はズレやすくなります。

教訓 その⑥ 毎日が危険日。

 

 

 

 

以上の教訓を踏まえ、正しい避妊方法を身につけようではありませんか!!

避妊方法として、*コンドーム *OC(低用量ピル)*緊急避妊ピル *IUD(子宮内避妊用具)*IUS(子宮内避妊システム)があります。どれか1つだけ行なえばよいという訳ではありません。コンドームは避妊の他に性感染症も防ぐことが出来るの

 で、コンドームにプラスしてもう一つ避妊アイテムを使うとより良いでしょう。

 

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さいごに

「望まない妊娠」とよく言われますが、これはとても胸が痛い言葉です。

確かに自分だけの責任ではないですが、お腹に小さな命が宿っています。

一生懸命に生きています。私たちはその命に終わりを告げ最後を見届けます。

きちんと避妊の対策をしていれば、このような言葉が出てくることもないのでは...。と日々感じてしまいます。

SEXをすることがいけないのではありませんよ!妊娠を考えていない状況下での恋人・夫婦のスキンシップを避妊というベースのもと愛し合って頂きたいのです。

女性とお腹の命に対して医療者である私たちは、幸せに迎えてあげられる環境を一緒に作っていきたいと考えています。

またその中で、家族・友人など周りに相談できず独りで不安や悩んでしまっている方にも、私たちの所へ(病院へ)相談に来て頂きたいのです。

万が一、避妊に失敗し、妊娠の可能性が出てくる場合には、性行為後72時間以内に内服する緊急避妊ピルというものがあります。

ただ、これを常備の避妊方法にすることは出来ませんから、しっかりとコンドーム+アイテムを心がけてください。

☆身を守るのは貴方自身なのです。大事な身体に愛情を持って大切にしましょう☆

 

母乳と食事の都市伝説

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食欲の秋ですね。

旬なものを美味しく食べたい!でも母乳育児しているから...何でもかんでも食べて乳腺炎にならないか心配。というママもいるのではないでしょうか。

 

乳腺炎になる食事はあるのか?

母乳外来で「脂っこい食事やケーキを食べたから乳腺炎になったのでしょうか」「食事で気を付けた方が良いものはありますか」と質問を受けることがよくあります。

母乳がドロドロになって詰まる、食事量や内容で母乳の成分や量が変わる、という印象があるようです。

 

結論から言うと

特定の食事(脂っこい食事やケーキ等)=乳腺炎

というのは都市伝説!!医学的根拠はありません。

 

 

母乳の構成成分

母乳の88%は水分です。他には、炭水化物、脂肪、たんぱく質の順に多く含まれます。

中でも気になる脂肪ですが...母乳中に3.5%

ママの食事によって脂肪の構成成分は変化しますが、母乳中の脂肪の量は変わらないことがわかっています。ですので、脂肪分をとりすぎたからと言って母乳がドロドロになることやその為に乳腺が詰まることはありません。

母乳は血液から造られていることをご存知ですか?血液は乳管より細い毛細血管を通ってきています。食事が原因で血液がドロドロになったら乳管より先に毛細血管が詰まってしまうことになりますよね。

授乳期(30歳)の食事摂取基準は2100~2650kcalですが、栄養状態の良いママが1日の食事摂取量を1500kcalに減らしても母乳の量は変わらないといわれています。逆に、それ以上に減らしてしまうと、今度はママの健康に影響が出る可能性があるのです。

乳腺炎を気にして食事制限をする必要はなく、バランスの良い食事が1番です。

 

 

乳腺炎の原因

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では“なぜ乳腺炎になってしまうのか”ですが、作られたおっぱいを赤ちゃんがうまく飲みとれていないことが主な原因です。具体的に上げると、

  • 赤ちゃんが乳首をうまく吸えない
  • いつもと授乳の姿勢や赤ちゃんのポジションが違った
  • 離乳食が進んできて、母乳回数が減った。

など、こういったことにより

作られた母乳>飲みとる量

のバランスになった時に母乳が溜まり、乳腺炎をひきおこす原因になります。他には、ママの疲れやストレス、下着や抱っこひもなどによる締め付けや圧迫などが原因といわれています。

 

乳腺炎かなと思ったら

乳腺炎になってしまった時には、赤ちゃんに飲みとってもらうのが1番。赤ちゃんがおっぱいを深く吸えているか、授乳の姿勢は大丈夫かを確認して頻回に吸ってもらいましょう。疲れがたまっていたら、周りの力を借りながら休息をとることも大切です。

赤ちゃんが飲みとるのが難しかったり、頻回に吸わせても改善しない場合には母乳外来の受診をお勧めします。

 

 

当院の母乳外来については↓こちらをご覧ください。

産婦人科|診療科のご案内|患者さま・ご来院の方へ|船橋二和病院

お問い合わせ・ご意見等ある方は toiawase@futawa-hp.jp まで。

 

参考文献●水野克己、水野紀子:母乳育児支援講座、南山堂、2011年

 

10代でピルって大丈夫なの?

娘さんにピルをおすすめすると、お母様から聞かれる質問です。

 

諸外国に比べると、日本はピル(経口避妊薬)の普及が遅れています。

例えばフランスでは普及率40%以上であるのに比べ、日本では3.5%という報告もあります。

これは、ドラッグストアでピルを買うことができる諸外国に比べ、日本では医師の処方が必要であることも原因かと思います。

コンドームは、確実に使用したとしても妊娠することがあり、その確率も低くはありません。それに対し、確実に内服すればほぼ100パーセントの避妊効果があるピル。女性の意思で避妊できることや、避妊以外の利点(月経痛・月経前症候群の改善、など様々)もあるのですが、あまり普及していないと思います。

 

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 今回は、ピルに関する素朴な疑問、

‘10代でピルって大丈夫なの?’にお答えしたいと思います。

 

ピルの対象者は

生殖可能年齢にある女性

つまり対象年齢は<初経がきて数ヶ月~閉経まで>

ただ、40歳以降は副作用発生のリスクから、慎重投与とされています。

これは、もとから40代以降は疾患のリスクが高くなり、ピル内服によりそれを助長する可能性があるからです。

40歳以降で、出産を終えた女性の避妊は、IUS(子宮内避妊システム)などの方法がベターといえそうです。

 

 ということは・・・若い世代こそ、もちろん10代でも、<避妊の第1選択はピル>

であっていいと思います。

 

 なぜ10代でピルは普及していないの?親心と副作用

しかし現実には、子どもを産んでも育てられないうちはセックスするべきではないという大人の理想像もあります。

実際、娘さんが交際している相手がいたとします。2人の関係は認めてあげたとしても、「妊娠だけはしないでほしい」、と思う親心ってありますよね。

10代でピルなんて、と思う理由は、ピル内服を認める=子どものセックスを容認する、ということではないのだけれど・・そこに疑問があるからではないでしょうか。

しかし、1度セックスのある関係になってから、元のセックスのない関係に戻ることは考えにくいですよね。

 

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その他、よく質問されるのは、吐き気などの副作用に関する心配です。

現在普及している低用量ピルは、昔の中用量ピルに比べて副作用が抑えられていることがメリットです。

当院で主に処方されているトリキュラー錠の添付文書によると、主な副作用

は下記の通りです。

 

不正子宮出血

3.8%

悪心

3.4%

乳房痛

1.1%

嘔吐

0.9%

頭痛

0.7%

 

どれも発生頻度は少ないと言えそうです。

その他、まれではありますが重大な副作用としては、静脈血栓症があげられます。添付文書によりますと、ピルを内服している女性は内服していない女性に比べ、発生頻度が

3.25~4.0倍高くなるそうです。ちなみに静脈血栓症の発症率は妊娠中にも高くなり、非妊娠時と比べて5倍以上といわれています。つまり、妊娠したほうがハイリスクということになります。

 

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妊娠したほうがハイリスク

娘さんがもし妊娠したら、と考えますと、若年妊娠はそうでない場合と比べて妊娠自体

がハイリスクで、早産・低出生体重児妊娠高血圧症候群のリスクが高く、母子ともに命に関わる危険にさらされる可能性が高まると言っても過言ではありません。

 

 

おわりに

妊娠したことを誰にも伝えられず、悲しい事件に発展するというニュースが後をたちません。もし、中絶の選択をしたとしても、手術によるリスクは避けられず、心の傷は一生背負うことになります。

 

望まない妊娠への不安を、毎月抱えている人もいると思います。

避妊の選択肢は一つではありません。

 

 今回は疑問に少しでもお答えできれば、と思いましたが、なにかありましたら産婦人科外来にいらして下さい。医師の診察の前後にお話しをお伺いすることもできますので、気軽にご相談下さい。

 

参考文献)・産科と婦人科 2014.8. vol.81 No.8 診断と治療社

      特集 女性と静脈血栓塞栓症 

     ・静脈血栓症肺塞栓症とDIC 血液6 最新医学社

先日、思春期保健の研修に行ってきました。1

 

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タイトルの通り思春期保健に関する講義がメインでしたが、全てのライフステージに関係する内容も多々あったので、何回かに分けてみなさんにもお伝えしようと思います。

 

今回は・・・

「性と生殖に関する健康と権利」

(Sexual Reproductive Health/Rights  以下SRH/R)

 

<SRH/Rのいきさつ> 

1978年にWHO(世界保健機関)が、“全ての人々に健康を”を目的に、健康の定義を「健康とは、単に病気にかかっていない、病的状態が存在しないというがけでなく、身体的、健康的および社会的に完全に良好な状態をいう」と宣言しました。

それをうけ、1990年にファタラという産婦人科医が、女性の健康という視点に置き換えて、以下のように定義しました。

 

<SRH/Rとは>

 「リプロダクティブ・ヘルスとは、生殖の過程に単に病気や異常が存在しないだけでなく、生殖の過程が身体的、精神的および社会的に完全に良好な状態で遂行されること」

 

 この定義をみなさんに置き換えると

①良好な恋愛ができる。(対等に、敬意を持って付き合える)

②良好な性交が行なわれる。(自分や相手の体を知り、性感染症や妊娠に関して話し合い、合意の下で性交を行なえる。)

③望まない妊娠や性感染症に関して、自己決定権を持ち、安全な治療が受けられる。

④良好な不妊治療が受けられる。

⑤安全に妊娠と出産ができる。

⑥生まれた時から、赤ちゃんが良好な子ども時代を送れる。(虐待から守られる)

・・・と表すことができます。

 

 皆さんはSRH/Rを自分のものにできていますか?

デートDVやリベンジポルノを受けていませんか?

避妊や性感染症予防を相手にゆだねていませんか?(あなたと相手は正しい知識を持っていますか?)

人工妊娠中絶や性感染症の治療によって、心は傷つけられていませんか?(相手や周りの人や医療関係者から心ない対応をされていませんか?)

 自分のライフプランを描くための知識を持っていますか?必要なときは自分とパートナーの納得の行く不妊治療を受けていますか?

 母子ともに健康な妊娠・出産をできるような医療を受けていますか?

 赤ちゃんを健やかに育てられるサポートを受けていますか?

などなど・・・。

 

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 日本人は「人権」に関して、まだまだ関心が薄いかもしれません。

これを期に「自分と自分の大切な人の健康と権利」を考えてみてくださいね。

尿漏れ、尿失禁 悩んでいないで婦人科に受診を

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秋の空気を感じてきましたね。ブタクサなどの秋花粉が舞い始めてきました。

皆さんはこんな経験ありませんか?

突然襲うくしゃみで チョロ あっ!!

風邪をひいて止まらない咳に思わず うっ!!

軽く持てると思った荷物を持ったら意外と重たくて あ、マズイ・・・(@_@;)

さっきトイレに行ったばかりなのにムズムズ・・・もれそう・・・。

 このような経験は成人女性の4人に1人が経験すると言われています。

 

 

尿漏れの分類と頻度

 

女性の尿漏れは3つに分類できます。

■腹圧性尿失禁:咳やくしゃみ、大笑いすると漏れてしまう。重い荷物を持った時に漏れてしまう。

■切迫性尿失禁:トイレに行くまで我慢できない。トイレに行く回数が増えた。トイレに行ったばかりなのにすぐに行きたくなる。

■混合性尿失禁:腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両者が存在するもの

 

頻度としては、腹圧性尿失禁が約50%と最も高く、次いで切迫性尿失禁が約20%、混合性尿失禁が30%となっています。

 

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尿失禁の原因

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私たちの下腹部にある内臓(膀胱・尿道・子宮・膣など)は骨盤の中で保護されています。その内臓を支えている筋肉を骨盤底筋と言います。出産や加齢に伴い、骨盤底筋群が脆弱化して膀胱や尿道が下垂することで、尿漏れを引き起こします。

妊娠中には約半数以上の妊婦さんが尿漏れを経験し、出産後は自然に改善すると言われていますが、尿漏れが続く場合には早めにご相談ください。

 

 

産婦人科受診のすすめ

 尿漏れはあるけど、どこにかかればいいのかよくわからない。泌尿器科?という方もいるかと思います。

産婦人科外来では、尿漏れ、尿失禁による症状・障害をスコア化して、治療方針の決定、治療効果の判定しています。先ずは悩んでいないで、産婦人科外来にご相談ください。

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